CG?VFX?人形?…映画館の大スクリーンでご確認を! 実写版『リロ&スティッチ』
2025年06月02日
[薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!]
この作品のさらに詳しい情報はコチラ→https://www.disney.co.jp/movie/lilo-stitch

映画の視覚効果=VFX技術はまさに日進月歩だが、映画館のスクリーンでこれだけの映像を見せられれば息を飲むしかない。主人公のリロと宇宙からやってきたエイリアン・スティッチがハグするシーンだ。
リロは人間の女の子だから実像。一方のスティッチはCGかVFXか、はたまたカメラに映らない場所から人間が操る人形かもしれない。スタッフロールに「パペット操演者」としてセス・ヘイズの名前があるので、それらをミックスした可能性もある。その一連の流れがあまりにも自然で驚かされ、荒唐無稽なお話なのに自然と引き込まれるのだった。
ベースは日本で2003年に公開されたウォルト・ディズニー・アニメーション『リロ&スティッチ』。世界的に大ヒットして続編のオリジナルビデオ映画やテレビアニメも制作され、現在もキャラクターグッズを目にする人気作品だから改めて説明する必要もないだろう。
その実写映画化だが、随所にオリジナルへのリスペクトがうかがえる。たとえば、スティッチが逃亡するシーンは、1作目のアニメーション映画版そのままのイメージでスクリーンに登場する。

ストーリーも“ほぼ一緒”。ハワイのカウアイ島を舞台に、マイア・ケアロハが演じる主人公の少女リロとシドニー・アグドンが演じる姉のナニが中心人物。この二人の演技が上手いうえに、日本語吹替版の永尾柚乃(ながお ・ゆの/リロ役)とガールズグループ「ME:I(ミーアイ)」のメンバーMOMONA(ナニ役)の声がピッタリはまって、まさに相乗効果の仕上がり。特に永尾は実年齢8歳で、天才子役という表現がピッタリの声の演技。さらにスティッチはあの山寺宏一という贅沢なキャスティングだ。
そのリロ&ナニ姉妹と彼女たちにかかわる周りの人々との人間関係が描かれる一方で、宇宙空間からハワイに落ちてきたスティッチを連れ戻そうとする“変なキャラクター”が巻き起こすドタバタ劇も同時進行する。
そう聞くと「木に竹を接(つ)いだようになちゃうのでは?」と思うが、これが全く違和感がない。いかに22年前の脚本の完成度が高かったかがわかる展開で、それにハリウッドのCG・VFX技術が追いついたと言えるだろう。

冒頭「オリジナルへのリスペクトがうかがえる」と書いたが、それは映像以外でも感じられる。たとえば、オリジナル版の声優さんが別の役柄で登場するとか、劇中で使われたエルヴィス・プレスリーの名曲の数々だ。
そこから伝わる“空気感”は興行成績を気にする商業映画のものではない。
オリジナルを大切にすると同時に、どんな映画ファンにも受け入れられる作品かつ上質なヒューマニズムを提供する「ディズニーのDNA」にあふれた秀作だった。。
※この作品はウォルト・ディズニー・ジャパンの配給で、6月6日(金)からユナイテッド・シネマキャナルシティ13、T・ジョイ博多、TOHOシネマズららぽーと福岡、ユナイテッド・シネマ福岡ももち ほかで全国劇場公開されます。
※この文章は試写会で鑑賞した2D日本語吹替え版の感想です。全国公開時にはDolby Cinema、Dolby Atmos、4DX、MX4Dなど4つのプレミアムラージフォーマットでも上映されます。