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薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!

映画館のスクリーンで見ずにどこで見る? 映画『F1®/エフワン』

2025年06月25日

[薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!]

この作品のさらに詳しい情報はコチラ→https://wwws.warnerbros.co.jp/f1-movie/

© 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

 とんでもない撮影が行われている!

 その許可を得るための交渉はハードだっただろう。プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは「ブラッド・ピットが主人公のレーサーを演じる物語で、製作陣は『トップガン マーヴェリック』と同じ…」などと説得にかかったはずだ。

 聞く側のF1®主催者のお偉方は「そういう内容なら絶好のPRチャンスだ。細かいルールも描かれ、モーターファンだけではなく女性も含めた幅広い層に訴求できるし、ピットインのメカニックにも光があたる。しかも彼は『パイレーツ・オブ・カリビアン』を手掛けた人物だから信用できる」と考えた。
 
 その予想はズバリ当たり、今後これを超えるモータースポーツ映画を作るのは難しいレベル。唯一の例外は、トム・クルーズが実際にF1マシンを操縦しちゃう『デイズ・オブ・サンダーPART2』(笑)の企画しかないほどの仕上がりだ。
 
 なので「いずれは有料配信で見ることができるだろう…」なんてのは大間違い。あなたがモータースポーツ好きであれば、一食抜いてでもIMAXやDolby Cinemaといったラージフォーマットでの鑑賞をお勧めしたい。

致命傷ともいえるトラウマを抱える一方、ルール違反すれすれのテクニックでマシンを操るキャラを演じたブラピはアカデミー賞®候補確実!

 …とは言うもののストーリーは単純明快。ブラッド・ピットが演じる主人公ソニー・ヘイズは敏腕レーサーだが、あるトラウマに悩まされ過去の栄光から遠ざかっていた。

 そこに、ハビエル・バルデム演じる旧友・ルーベンが登場。自らがオーナーを務めるF1®チーム“エイペックスGP(もちろん架空)”にレーサーとしてカムバックすれば、ワールドチャンピオンを狙えるぞと彼を誘う。

 「走る目的は金ではない」が信条のヘイズは、しぶしぶそのオファーを受けるが、チームの成績は低迷し世界中を転戦するレースでは最下位付近をウロチョロ。マクラーレン、メルセデス、フェラーリといった上位チームは、その背中すらも見えない状態だった。

 そこからハンガリー、オランダ、ベルギー、メキシコ、アメリカ(ラスベガス)、日本(鈴鹿)、イギリス、アラブ首長国連邦などを舞台に起死回生のレースが続くが、同じチームのダムソン・イドリス演じる若手レーサー・ジョシュアとの人間関係は最悪。“老害レーサーvs鼻たれ小僧の走り屋”といった構図で先が思いやられる上に、内なる敵の存在もチラついて…というお話。

ダムソン・イドリス(左)演じるジョシュアとソニーとの人間関係はクライマックスに近づくと“スポ根もの”の風情となって…。

 冒頭「とんでもない撮影」と書いたが、時速300kmを超える速度で展開するレースシーンには『トップガン マーヴェリック』で使われたものをさらに小型・軽量化したIMAXカメラが活躍している。これが後ろから迫りくるライバルの動きを捉えたかと思ったら瞬時に180度角度を変えて眼前の急カーブを映しだす。

 もちろん無線によるコントロールだが、重量を気にしないF-18ジェット戦闘機に搭載するわけではないから開発には苦労したはずだ。カメラ本体の技術は日本のSONY、センサーはアメリカのAppleが独自に開発したもので、この点では“日米合作”と言えるだろう。

 さらには、実際のF1®レースの現場で巧妙な撮影が行われている。いくつかの場面で「エッ!今のはVFXだよね~」と思えるシーンが実写だったりするから最後まで目を離さないでほしい。

 特に好感が持てたのは主人公のソニー・ヘイズを無敵のスーパーマンとして描いていない点だ。誰しも程度の差こそあれ、長い人生の中での後悔やトラウマを抱え、常に「あの時に別の選択をしていたら…」なんて振り返ったりする。その人間らしさをブラッド・ピットが完璧に演じていたからだ。

 そんな人間臭さとハイレベルなレースシーンとの絶妙な融合も高く評価できる作品だった。 


※この作品は6月27日(金)から T・ジョイ博多、TOHOシネマズららぽーと福岡、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ福岡ももち ほかで全国ロードショー公開されます。

※本文中のいくつかのエピソードについて、映画配給会社から提供された資料から引用を行っています。

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