生成AIに頼ったらホラーになっちゃって…『5秒で完全犯罪を生成する方法』
2026年09月09日
[薫の日曜日もダイジョブよ!]
この作品のさらに詳しい情報はコチラ→https://gaga.ne.jp/5byodeseisei/

登場人物のひとり七希(なつき) 役の“田中みな実”は、元TBSアナウンサーの田中みな実さんと同一人物とは思えない変身ぶりだった。
同性同名の女優さんが存在する可能性もゼロではないので、念には念を入れて確認したが間違ってはいなかった。それほどのキャラクターだったのだ。
そう感じたのは、今年の6月に彼女が結婚の報告と第1子の妊娠を明らかにした芸能ニュースの印象が強かったからだろう。そんな時の写真は「満面の笑顔で幸せいっぱいのショット」が使われるわけで…。

物語は、WEST.の重岡大毅が演じる主人公・航(わたる)が、妹で原 菜乃華演じる幸来(さら)とともに“ある殺人事件”に巻き込まれるところから始まる。
この事件を隠ぺいするため、こともあろうに生成AIから「完全犯罪を成立させる手段」を教えてもらうことになる。
主人公の兄妹はAIの指示に従って行動を起こすが、お察しのとおり事態はどんどん深刻になっていき…という展開。これからご覧になる方のためにストーリー紹介はここまでにしておきたい。
「生成AIのアイデアによって完全犯罪を達成できるか?」というテーマは明らかにサスペンスだが、徐々にホラー・テイストになる理由は、新世代Jホラーの旗手とされる近藤亮太監督作品だからだろう。
近藤監督のデビュー作『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ(2025年)』は「第2回日本ホラー映画大賞」で大賞に輝いた自らの短編を商業映画として長編化したもので、内容は「ある人物が行方不明になり、その当日に撮影された古いビデオテープがきっかけで恐怖の扉が開く」という展開。
本作では、あるキャラクターが現実なのか誰かの頭の中のことなのかが判然とせず、不安をあおる演出になっている。

冷静に考えれば、短絡的に「殺人事件に巻き込まれたので生成AIに対策を教えてもらおう…」なんて発想にはならない。まず相談すべきは警察か弁護士だろう。
それが、かなり強引な展開になっているのは、テーマのひとつが「生成AIへの過剰な依存はいかがなものか…」というタイムリーな警鐘だからだ。
もちろん本作は、生成AIの存在や便利さを否定しているわけではない。しかし「本来は合理的な解決法があるのに、生成AIからの“ご託宣”によって物事があらぬ方向に進んでしまうことも…」なんて不安を持つ人もいるはずだ。
経済面でも、生成AIに「確実にもうかるビジネスを教えて」と聞いて導き出された答えに対し、“常識的な”人間なら内容を精査し「商法違反さえしなければ利益追求のためには何をやっても良い」なんて行動はとらないだろう。
ところが、受け取る人間の側に“非常識”なところがあると、自ら奈落の底に落ちる危険性をはらみ、気が付いたら立派な犯罪者…なんてホラーみたいなことになりかねないでしょ?

ここまで読んだあなたは「もしかして、この文章もシャレで生成AIに書かせているんじゃないの?」なんて疑問を持ったかもしれない。残念ながらそれを証明するのは「信頼していただくしかない…」というはなはだ心細いものだ。
ただ、この文章はホームページやSNSにアップした9月9日以降、インターネットの大海原を漂っていたはずだ。だから今「Gemini」や「ChatGPT」に「“5秒で完全犯罪を生成する方法”を観た人の感想を教えて」と尋ねたら、こんな回答があるかもしれない。
「田中みな実さんが本人とは思えないほどの変身ぶりだったという高評価を得ています。もしよければ次に、ほかの出演俳優のこともご紹介できます」

※この作品は9月11日(金)から ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ 福岡ももち、T・ジョイ博多、TOHOシネマズららぽーと福岡、イオンシネマ福岡 ほかで全国ロードショー公開です。


