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薫の日曜日もダイジョブよ!

文化的な側面を持つ恋愛ドラマで…映画『3ミリの恋』

2026年11月02日

[薫の日曜日もダイジョブよ!]

この作品のさらに詳しい情報はコチラ→https://www.3mmlove-movie.com/

©2026「3ミリの恋」製作委員会

 特筆すべきは、主人公・タツヒコ役の黒川想矢の演技…いや存在だ。

 ご承知のように、是枝裕和監督の『怪物(2023)』で日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ多数の映画賞で新人賞を受賞。あの『国宝(2025)』でも吉沢亮の少年時代という重要な役をこなしていた人物。

 そして今回は、今年12月の誕生日で17歳の実年齢に重なる高校生役だが、撮影当時は15歳!にもかかわらずタツヒコになりきっているのだ。

 「それは、もはや演技ではない」と書くと失礼になるかもしれない。なぜなら、演じることによってスクリーン中の人物になりきるのが俳優だからだ。

 ただ、監督をはじめとするスタッフのアドバイスもあっただろうが、中盤からの突飛な行動にまったく違和感がない。自分は演技の専門家ではないので生意気なことは言えないが、過度な演技だと浮いてしまうキャラクターを見事にこなしていた。

※主演の黒川想矢は、複数の日本映画でキャスティングされるのも納得の存在だった。

 物語前半の舞台は佐賀県唐津市。唐津城やリゾートホテルでもおなじみの観光地なので、訪れたことがある方は目に入る素朴な漁港も記憶にあるはずだ。

 その街で海釣りなどを楽しむタツヒコの高校に韓国からの留学生・ユンスルがやってくる。演じるキム・ジアンは韓国で動員1,000万人超えのヒット作となったホラー映画『破墓/パミョ(2024)』にも出演していて、こちらも撮影当時は16歳。

 彼女の住まいは釜山なのに、なぜ唐津が留学先なのか…が徐々に明かされる。

 ほどなくして高校は夏休みに入り、仲間のかっちゃん(荒木飛羽)やジュリ(早瀬憩)とともになつかしさの漂うお祭りなどを楽しむことになる。

 しかし、あることをきっかけにユンスルが突然帰国してしまう。理由は何なのか…とモヤモヤ感が募るタツヒコはある大胆な行動に出る。このあたりでタイトル『3ミリの恋』の由来が明かされるが、それを知らずに映画館に行くことをお勧めしたい。

※続々登場する唐津の風景は、改めて豊かな自然を感じさせる。

 物語の後半になると舞台は韓国・釜山に移る。こちらも韓国旅行をしたことがあれば印象に残る活気のある街並みや人気のグルメなどが登場。前半の唐津の棚田などと合わせ、魅力あるロケ地の映像が旅情を誘う。

 一方で、ユンスルの母国での立場が明かされる。教育熱心な母親との軋轢を通じて、韓国の若者が置かれている環境がテーマのひとつだとわかる。それは彼女の将来について、親がかりではなく自分自身の考えで切り開いていくことが必要…と示唆される。

 同じように、タツヒコもユンスルとの出会いによって自分自身の将来をさらに考えるようになる。いくつかのシーンで、韓国語は扱えない彼が、セリフなしの表情のアップで心情の変化を表現する。

 主人公二人の淡い恋心を描きつつ、人間としての成長の物語にもなっているのだ。

※タツヒコの相手役ユンスルを演じるキム・ジアンは撮影当時16歳。韓国俳優陣の層の厚さを感じさせた。

 本作は韓国人女性と日本人男性の恋愛ドラマだが、韓国と日本との関係を考えさせる文化的な側面も持つ。

 在日韓国人3世の新鋭・全辰隆(チョン・ジニュン)監督の長編デビュー作の商業映画だが、二国間の過去の歴史と将来についての言及もあった。

 青い空をバックにしたエンディングは、主人公二人の将来を感じさせるとともに、地理的な近さと同じ様な交流の大切さも表しているように見える。

 監督の「釜山から海を渡った先にある街が佐賀県の唐津です。唐津の歴史や文化を知れば知るほど、韓国との距離の近さを感じました」という言葉から「海を渡った先にある釜山」への想いがこれまで以上に募る作品だった。

※後半の主人公二人が出会うシーンは意外な展開で…。

※この作品は11月6日(金)から T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ福岡ももち、ほかで全国ロードショー公開です。

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