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KBC Sunday Music Hour(毎週日曜あさ9:00~ごご5:45)

薫の日曜日もダイジョブよ!

劇中の漫画作品が“共演者”レベル…映画『見上げてごらん』

2026年10月26日

[薫の日曜日もダイジョブよ!]

この作品のさらに詳しい情報はコチラ→https://gaga.ne.jp/miagetegoran/

©2026「見上げてごらん」製作委員会

 エンディングにはビックリした。「ここは笑っていいんだよな~」としばらく考えてから「そうきたか!」という声が出た。

 途中のシーンに伏線はあったものの、まったく予想できないオチが待っている。漫画をテーマにした作品だけに、いささかマンガ・チックだったが、決して「騙された!」という感じではない。

 逆に、自分が少しは期待していたハッピーエンドだった。

 予告編を見た限りでは、気難しい人気漫画家のもとで働くアシスタントが悪戦苦闘するコメディかと思ったが実際はまったく違う。誰もが抱く夢や理想の生き方にも言及する作品だ。

※漫画創作の現場からアシスタントの食事シーンや架空の作品ポスターに至るまでがリアルで…。

 物語は三部構成で進む。第一部は、人気漫画家・吉住はるを(武田鉄矢)のアシスタントを20年近く続けてきた主人公・ツッチーこと土屋揮一の性格や彼を取り巻く人々が描かれる。

 森田剛が演じる揮一の年齢は42歳。キャリアは20年ほどもあるのに自分のオリジナル作品を連載したことはない。

 ひとり娘のひかり(早瀬憩)は高校受験を控え、父親との関係はギクシャクしている。さらに妻の莉花(松本まりか)は人気声優だが、彼との関係は複雑な様子。

 彼の師匠である吉住はるをのもとにテレビのドキュメンタリー番組の取材が入っている。カメラの前では自信にあふれた人気漫画家の表情だが、ある悩みを抱えていることもわかる。

 漫画出版社に勤める編集者・潮田ユキ(森川葵)は学生時代にチアリーディング部で活躍した活発なキャラで、担当している吉住をヨイショするのが上手い。
 
 そして吉住の元に新人アシスタントの山田ポテト(川上友里)が登場。漫画家のタマゴという設定だが、その破天荒なキャラに面食らってしまう。

※「グルメ漫画」の新連載を目指すためには避けて通れない実在の名作も登場。

 第二部は、編集担当・ユキの発案で、漫画家としての山田ポテトのアシスタントに揮一が付き、新たなグルメ漫画の連載に挑戦する。このあたりから揮一の漫画にかける熱い想いがヒートアップする。

 そして、本作のキモになるのが第三部だ。娘のひかりは夢を実現するため、自らの決断で進路を決める。妻の莉花の決断にも自分の娘にかける夢が反映される。

 夢を諦めきれずにあがいているように見える揮一は「この先どうなるの?」と不安になるが、彼のような“名もなき人”つまり縁の下の力持ちによって日本の社会は回っている…と示唆される。

 そんな物語に脇役、いや人間の俳優以外の“共演者”がからむ。あくまでも架空だが、現役の漫画家による複数の作品が次から次へと登場し花を添える。この演出によって物語の厚みが増した印象だ。

※輝一と妻の莉花との間だけではなく、二人の娘・ひかりも加えた人間関係もテーマのひとつで…。

 日本映画として珍しいのが、是枝裕和監督率いる映像制作集団「分福」の新鋭、森本晶一&佐藤快磨のダブル監督という点だ。

 原案・オリジナル脚本を担当した森本晶一監督は、自らの20年近くの映画助監督としての経験をマンガづくりの世界に重ねて物語を紡いだという。

 なるほど、そう言われてみれば漫画の創作現場に独特のリアリティがあり、登場人物の一部始終を天井裏からのぞき見するような感覚になった。

 物語の面白さだけではなく、だれしもが抱える「諦められない夢」を描いた点で「読書の秋」ならぬ「映画の秋」にふさわしい奥深い作品と言えるだろう。

※阿部寛が演じる編集長は、実際の漫画のコマから飛び出してきたようなビジュアルで…。

※この作品は10月30日(金)からkino cinema 天神 、ローソン・ユナイテッドシネマ小倉ほかで全国ロードショー公開されます。

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