【樽職人❷】「年輪と光沢」土井伸二さん
2026年07月12日

吉野杉と竹のみを使用する創業以来の製法で114年間、酒樽を作り続ける原田製樽所。
樽職人として23年間研鑽を積んできた土井伸二さん(45)が「銑(せん)」と呼ばれる両手持ちの刃物で、吉野杉を丁寧に削ると、隠れていた鮮やかな年輪が浮かびあがってきます。

「伝統的なものを作ってみたい」。
4代目の原田博史さんの兄弟子にあたる土井さんが、意を決して、先代の原田参次さんに教えを乞うたのが22歳のときでした。
「職人は数々の樽を作るが、お客様にとってはたった一つの樽」との師の教えを今も忘れず、一つ一つの樽づくりに魂を込めていると話します。

原田製樽所が手がける伝統的な酒樽は、お祝いの席の「鏡開き」を華やかに彩る一品です。
特に徹底しているのが最後の仕上げ作業。
土井さんは、杉板の表面に美しい光沢が浮かび上がるほど、なめらかに磨き上げます。
職人たちが互いに技を磨き合い、品質第一で仕立てる酒樽には、彼らの誠心誠意の想いが隅々まで込められています。

土井さんが未来に残したいのは、田んぼが広がる故郷・江北町の風景です。
佐賀市内中心部からほど近い場所にありながら、いつでも豊かな自然を感じられる環境が一番のお気に入りだといいます。