「自分らしさを形に」(福岡県福津市)
2024年10月06日
400年以上の歴史がある福岡を代表する伝統工芸品「博多人形」。
福津市在住の博多人形師・石田哲志さんは、従来の博多人形にある「和」のイメージを覆す、親しみやすく、気軽に飾りやすい作品を多く作り出している。
コロナをきっかけに、やりたいこと好きなことを作品に落とし込もうという考えに至り、
「洋物」の人形のほかに、プランクトンや動物を題材にしたオブジェなど、人形にとどまらず、今の時代に合わせた作品を手掛け、見ている人に和んでもらったり楽しんでもらいたいという考えでデザインしている。
博多人形の世界に飛び込んで20年。作品作りに思い悩む時期にかけてもらった師匠からの言葉が胸の奥に残っている。
『人間には生まれてきた時から必ず1つは良いものがある』
『憧れやなりたいものに届かないとしても、自分の良さを見つけて、伸ばしていければいい』
その思いを持って、石田さんは今日も「自分にしかできないもの」を生み出していく。
そんな石田さんが未来に残したい風景は「福津市の海」。
海に面する福津市は「福間海岸」から「宮地浜」「津屋崎海岸」へと長い浜が連なっている。
田舎育ちの石田さんにとって、自然との触れ合いは欠かせないもので、福津市の海は、人工物に囲まれた息苦しさから解放してくれる癒やしの場所だ。
浜辺に転がる貝や石などの形や色に目を向け、思いつくままに拾う。
その感性は自然に石田さんの中に吸収されているのかもしれない。