粕屋町で人気爆発！ 特濃泡ぶく豚骨。「麺屋 二極」ふるさとWish 粕屋町。豚骨戦士　福岡のラーメンを斬る！VOL.41

※福岡県大牟田市に移転しました（2023.3追記）

福岡での豚骨ラーメンのトレンドのひとつに“泡”がある。“豚骨カプチーノ”と称される「博多一双」、“元祖泡系”を掲げる「博多一幸舎」を筆頭に、「金田家」「英国昇龍」「博多一成一代」「ろくでなし」など。スープの表面に豚骨や脂に由来する天然の脂泡（しほう）が浮いているのが特徴である。ブレンダーにかけた泡ぶく鶏白湯や味噌はまた別モノとして、豚骨においての“泡”が注目されるようになったのは、やはり一双や一幸舎の功績が大きい。泡豚骨が認知される前は、「洗剤の泡が浮いとるっちゃないと」。そんなクレームも本当にあった。泡は、乳化させる工程で、釜の中を頻繁に攪拌（かくはん）し空気に触れさせることによりできるもので、今では“本物豚骨”“濃厚豚骨”の称号となっている。一般的に、豚骨ラーメンの製法には、1日分を仕込むフレッシュな「取りきり」と、旨味を重ねる「呼び戻し」があるが、泡ができやすいのは、より熟成させた後者。泡は濃厚さの証であるとともに、飲み口を柔らかくする効果もあるのだ。

泡だく豚骨の若手注目株　粕屋町「麺屋 二極」

今回のラーメンwishの主役は、濃厚泡豚骨を掲げる最新店「麺屋 二極」。福岡流通センター近く、粕屋町内橋に今年4/24にオープンした。店はグレーを基調としたシンプルなしつらえで、淡い照明。各席を照らすスポットライトに泡だく豚骨が浮かび上がる。

このスタイリッシュな店を開いた江崎涼太さん、藤瀬智樹さんはともに福岡県・大牟田市出身。福岡最南端のラーメン処として知られる大牟田市で、古（いにしえ）の豚骨に親しんできた幼馴染み2人がタッグを組んだ。「僕らの地元大牟田にはさまざまな名ラーメン店がありますが、一番のソウルフードといえば『光華園』の一杯。地元民には“便所ラーメン”と呼ばれています。と、言っても汚いとかではないですよ。昔、店の前に公衆トイレがあったので、今でもそれで通じるんです。とにかく光華園の、濃厚豚骨ラーメンが無茶苦茶好きで幼い頃から通っていました。長く地元を離れていたのですが、ある時、福岡市内の博多一幸舎で豚骨感のしっかりとしたラーメンを啜った瞬間、故郷で刻まれた“ど豚骨DNA”が呼び覚まされた気がしました。やっぱり自分はこんな濃い〜豚骨が好きなんだなぁと。それをきっかけにラーメンで勝負したい！という熱が沸いてきて、幼馴染みの藤瀬に声をかけたんです」と江崎さんは振り返る。

その後、2人はラーメン作りに没頭。“インパクトのある濃厚さ”“細かい泡”“心地よい余韻”を目指し、繰り返しスープをとった。行き着いたのは3、4本の寸胴を使う呼び戻し（継ぎ足し）手法。若いスープの釜、熟成させたスープの釜と、複数をブレンドしながら最終的に本釜へと移していく。追い炊き、熟成を重ねるうちに、理想とする泡も立つようになった。

どっしりとした濃厚さがあり、鼻に抜ける豚骨フレーバーも心地よい。豚頭、ゲンコツ、背骨など豚骨の髄から旨味を抽出したスープと脂泡がしなやかな細ストレート麺にねっとりと絡みつく。1か月前には、この濃厚豚骨スープをベースにした野菜ちゃんぽん（700円）もデビューし、人気を博している。

「麺屋 二極」は、先日発足されたラーメン会「令和維新会」の一店。
ほか「道」「駒や」「にへい」「六味亭」「絶好鳥」と、同会の6店を巡るとオリジナルTシャツがもらえるスタンプラリーも開催している（〜11/30）。

【麺屋 二極】
住所：福岡県糟屋郡粕屋町内橋800-19→【移転先】福岡県大牟田市船津町269-1
電話：050-1109-3574

上村敏行（かみむらとしゆき）。1976年鹿児島生まれ。2002年よりラーメンライターに。以降年間300杯を食べ歩き「ラーメンWalker」はじめ各媒体での執筆活動、ラーメンイベント監修などを行う。KBC地域リポーター。

※この記事は2019年の情報です。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。