家族との時間を求めて農業の道へ〜みやこFARMが育む地域の食と未来〜(福岡・みやこ町)【まち歩き】

福岡県みやこ町の緑豊かな田園風景の中で、アスパラガスを中心とした野菜作りに励む「みやこFARM」。代表の永田健一さんは、かつて食品関係の会社で働く会社員でした。安定した職を離れ、なぜ農業の道を選んだのか。そこには家族への深い愛情と、食への強い思いがありました。

■単身赴任から見えた、本当に大切なもの

「会社員時代は食品関係の会社に勤めていて、単身赴任で大阪にいました。なかなか自分たちの子どもたちと触れ合うことができなくて…」。
永田さんが農業への転身を決意した背景には、家族との時間を大切にしたいという強い想いがありました。仕事に追われる日々の中で、成長していく子どもたちとの貴重な時間を失っていることに気づいたのです。

転機となったのは、奥様のお母様が亡くなり、お父様が一人になったこと。奥様の実家には畑があり、食品関係の仕事をしていた永田さんは元々食に興味を持っていました。
「ちょっと農業やってみようかな」。
その一言から、永田さんの新たな人生が始まりました。

■環境と健康を守るワンヘルス認証への挑戦

みやこFARMでは、2023年春に福岡県のワンヘルス認証を取得しました。これは人・動物・環境の健康を一体的に捉えた取り組みを評価する認証制度です。
「防虫ネットを設置して虫の侵入を防いでいます。これによって農薬の使用回数を減らすことができるんです」。

永田さんが取り組む減農薬栽培は、消費者にとって安心して食べられる野菜を提供するだけでなく、健康と環境への配慮も実現しています。ビニールハウス全体に目の細かい防虫ネットを張ることで、害虫の大量発生を抑制し、自然に近い栽培方法を追求しています。

■子どもたちに伝えたい、食の大切さ

みやこFARMの活動で特に印象的なのが、地域の小学校や中学校での食育活動です。永田さんは定期的に学校を訪れ、子どもたちに農業の大切さを伝えています。
「子どもたちとふれあう中で感じるのは、輸入品が多い中で、産地の近くに住んでいるのに地元の農業に触れる機会が少ないということです」。
永田さんが子どもたちに伝えたいのは、普段何気なく食べている野菜がどのように作られ、市場に流れていくのかということ。意外にも子どもたちは農業に興味を示してくれるといいます。
「田舎なのに農家と触れ合う機会がないんです。近くに野菜農家がいて恵まれているのに、食べる機会がないので知ってもらいたい」。

現代の食生活では野菜離れが進み、加工品が多くなっています。永田さんは子どもたちにもっと野菜を食べてもらい、バランスの取れた食事で強い身体になってほしいと願っています。
「美味しい野菜を食べてもらいたいという思いで作っています。作っている人の苦労や、出荷するまでの大変さも知ってもらって、手に取って食べてもらいたい」。

■地域とともに歩む未来

会社員から農家への転身、そして地域の食育活動まで。永田さんの歩みは、単なる職業選択を超えた、家族と地域への深い愛情に支えられています。

みやこFARMが育てるアスパラガスは、ただの野菜ではありません。そこには家族との時間を大切にしたいという父の想い、環境に配慮した持続可能な農業への取り組み、そして次世代の子どもたちへの食育への情熱が込められているのです。
朝採りの新鮮なアスパラガスを手に取るとき、私たちは永田さんが大切にしているものすべてを一緒に味わっているのかもしれません。

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■『みやこFARM』
福岡県京都郡みやこ町
Instagram@miyako_asupara
https://www.instagram.com/miyako_asupara

URL:https://www.instagram.com/miyako_asupara

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