心を満たす器に出会う旅。日常の風景に父娘が穏やかな風を吹き込む器を求めて山あいの『康雲窯』へ(佐賀・武雄市)【Oasis~心の休息地をめぐる旅~】

■ 青空と木漏れ日に包まれて。武雄の山あいに佇む「康雲窯」

やわらかな風が吹き抜け、そっと鼻をかすめる心地よい土の匂い。
佐賀・武雄の山あいにある窯元「康雲窯(こううんがま)」。
窯主・山口康雄さんは娘・華傳(かでん)さんと共に、代々受け継がれてきた武雄古唐津焼をつくり続けています。
素朴な土の表情に、朱色や青、魚や鳥などの絵柄を取り入れた器。
「飾っても、使ってもいい器」を目指し、暮らしに寄り添うものを届けています。

■ 「心が弾む方を選んだらいい」父・康雄さんが辿り着いた、手放す豊かさ

「歳とってからの方が、楽しいよ」康雄さんはそう笑顔で話します。
「これからは自分のために、納得のいくものをつくりたい」。
「もう、あまり売るのはやめた。あんまり利益はないけど、楽しもうと思って」。
子どもたちが独立した今、康雄さんが選んだのは「自分の心がときめくものづくり」でした。

「厳しい方を選べってよく言われるけど、僕はやっぱり、楽しい方を選んだ方がいいな」。

そうして肩の荷を下ろして「売るため」の力みをそっと手放し、楽しむことを一番に考え始めたとき、不思議と器はより愛され、以前よりも多くの人の元へ届くようになったといいます。

■ 焦らず、不器用な自分も愛して。娘・華傳さんが育む自分らしい歩幅

そんな父の背中を見つめながら、共に窯に立つのが娘の華傳さん。
幼い頃から陶芸一筋だったわけではありません。
「昔は図工で『2』をもらうほど不器用で、スタートの遅さに焦ってばかりでした」と笑う華傳さん。
10代、20代には様々なことに興味を持ちながらも、「結局どれも中途半端で、ものにならなかった」と振り返ります。
陶芸を始めてからも、人よりスタートが遅いことに焦り、自分のできないところばかりを見ていたといいます。
技術は、父・康雄さんに教えてもらうのではなく、その背中を”見て、学ぶ”日々。
焼き物の道に入ってからは、一度は「ものにはならない」と破門されたこともありました。

それでも、華傳さんはつくることを決して諦めませんでした。

そうして続けていく中で、少しずつ自分との向き合い方も変わっていきました。

できないことを、急いで埋めようとしないこと。
誰かと比べて、必要以上に構えないこと。

紆余曲折しながら、遠回りをしたからこそ辿り着いたのは、「頑張らないを頑張る」というしなやかな生き方でした。

不器用な自分もそのまま受け止めながら、日々に感謝して、目の前の一日を丁寧に重ねる華傳さんの器には、優しく寄り添うようなあたたかさが宿っています。

写真中央:康雲窯の特徴のひとつ「和紙染」

■ にじむ色彩、やさしい輪郭。日々に寄り添う「和紙染」と土のぬくもり

康雲窯の器を語る上で欠かせないのが、自慢の技法「和紙染(わしぞめ)」です。カットした和紙に色を染み込ませて模様を写し出すことで、ふんわりとした輪郭と独特のにじみが生まれます。可憐な魚や鳥の絵柄が施された器は、「飾っても、使ってもいい」特別な存在。いつもの朝食やちょっとしたお茶の時間に使うだけで、食卓にぽっとあかりが灯るような癒やしを与えてくれます。

家族を支えるために必死に働いてきた康雄さんと、できない自分に焦りながら歩いてきた華傳さん。
二人が今たどり着いた場所は少し違って見えるかもし、その根には共通するものがあります
父は心が弾む方へ、娘は自分の歩幅で。
同じ窯に立つ二人のものづくりは、それぞれの時間を受け止めながら、穏やかに次の景色へと向かっています。

■ 自分らしく生きるヒントに触れる。心を解きほぐす器探しの旅へ

無理に自分を大きく見せるのではなく、肩の力を抜いて自分の感覚を大切にすること。

そんな父娘の生き方が溶け込んだ器たちは、日々の忙しさに少し疲れた私たちの心を、やさしく解きほぐしてくれます。
木々が揺れる美しい武雄の景色とともに、あなたの毎日にそっと寄り添う「運命の1枚」を探しにでかけてみてはいかがでしょうか。


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■『康雲窯』
住所:佐賀県武雄市武内町大字梅野乙13649
電話:0954-27-2745
営業時間:9:00〜17:00
Instagram:@kouungama
https://www.instagram.com/kouungama/
Webサイト:https://kouungama.jp
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■ 康雲窯

住所:佐賀県武雄市武内町大字梅野乙13649
Instagram:@kouungama
「康雲窯」HP

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