【わざわざ行きたい店】門司の大正2年築の赤煉瓦館に2つの喫茶店!?音楽・写真・アート・グルメが一堂に集うニューレトロ空間。『名曲喫茶ねこ』と『純喫茶ことり』(福岡・北九州市)【まち歩き】
北九州市門司区大里本町。「門司赤煉瓦プレイス」に、大正2年に建てられた煉瓦造の建物があります。
かつてビール工場の事務所として使われていた建物は、2026年5月にリニューアルオープン。
1階には『名曲喫茶ねこ』と『純喫茶ことり』、2階には写真スタジオ「FU. photo&design」が入っています。
静かに音楽を聴く時間と、食事や会話を楽しむ時間。二つの喫茶が、一つの建物の中にあります。
■大正2年の建物に、写真と喫茶を
オーナーは、写真家の木寺一路(かずみち)さん。木寺さんたちと門司赤煉瓦との関わりは、今回の喫茶のオープンより前から続いています。会社を立ち上げたのは約25年前。小倉北区を拠点に活動し、その後、約18年前から門司赤煉瓦でも写真スタジオを構えてきました。
きっかけは、この場所を管理していた人から「ここで写真スタジオをやってみないか」と声をかけられたこと。
「建物がすごく魅力的でしょう。なので、それはぜひ、ということで」
木寺さんは25歳で写真の世界に入り、現在まで30年以上、写真家として活動しています。長く写真を撮ってきた門司赤煉瓦に、2026年、新たに音楽と喫茶、アートを楽しめる空間が加わりました。
■猫のように、自分の居心地のいい場所を
『名曲喫茶ねこ』で大切にしているのは、一人で過ごせる時間です。
マネージャーの藤原ゆき枝さんは、店名に込めた意味をこう話します。
「猫って、自分で居心地のいい場所を探して、じーっとするじゃないですか。ここでも、自分の居心地のいい場所を見つけて、ゆっくりしていただきたいなと」
誰かと話すためではなく、一人で音楽を聴く。本を開く。何もせずに座っている。そんな過ごし方も選べるようにしています。
木寺さんも、「一人の時間を大切にする。そういう空間を作りました」と話します。
スマートフォンを開けば、情報が次々と流れていく時代。藤原さんは、誰かと一緒にいても、常に会話を続ける必要はないと考えています。
「もっと自分の中の自分と向き合うような時間だったり、誰かと来ても静かにゆっくりできる場所だったらいいなって」
静かにしなければならないのではなく、喋らなくてもいい。それが『ねこ』のつくる時間です。
■クラシックとジャズ。曲に合わせてスピーカーも変える
室内に置かれているスピーカーは3組、計6台。クラシック向け、ジャズ向け、幅広い音楽に対応するものと、それぞれ特徴があり、流す曲によって使い分けています。取材中に流れていたのは、ベルリオーズの「幻想交響曲」。
「弦楽器ならこれがいいとか、交響曲ならこのスピーカーが合うとか。それによって変えたりもします」
昼はクラシック、夕方からはジャズが中心。客が少ない時間には、リクエストに応えることもあるそうです。利用は90分制。ドリンクと甘味が付き、ソフトドリンクのAコースとアルコールのBコースを用意しています。
料金:90分入室料+ドリンク+甘味付き
Aコース(ソフトドリンク):税込2,200円
Bコース(アルコール):税込2,750円
■写真、絵、本。音楽だけでは終わらない
『ねこ』で目に入るのは、音響機器だけではありません。壁には木寺さん自身の写真作品や、長年交流を続けてきた黒田征太郎さんの作品などが並びます。黒田さんは、木寺さんにとって「アートのお師匠さんのような存在」。一緒に展覧会を開き、海外へ出かけたこともあるといいます。
藤原さんは、木寺さんについてこう話します。
「30年以上写真家として生きてきて、やっぱりアートというものが彼の本質的なところにあるんです。それを開放した場所にできたら」
館内には、美術書や文学作品などをそろえた「こいぬ文庫」もあり、自由に手に取ることができます。音楽を聴く。本を開く。壁の作品を見る。席に座って何もしない時間も含め、それぞれの過ごし方があります。
■『ことり』では、太麺の昭和ナポリタン
カーテンの向こうにある『ねこ』とは対照的に、『純喫茶ことり』は食事や会話を楽しむ空間です。
『ことり』は入室料がなく、通常の喫茶店と同じように、注文した飲食代のみで利用できます。
今回注文したのは、「ナポリタン(税込1,100円)」。熱した鉄板に太めのスパゲティを盛り、目玉焼きをのせた一皿です。少し柔らかめに仕上げ、ケチャップもしっかり使います。
「今のおしゃれな大きなお皿にちょこっと乗っている細麺のパスタというよりは、がっつり昭和な感じにしたくて」
藤原さんが目指したのは、昔ながらの喫茶店で食べるようなナポリタンです。
鉄板に触れた麺はところどころ香ばしく、ケチャップが太麺に絡みます。途中で目玉焼きを崩せば、黄身が加わり味わいも変わります。
ほかにもクラブハウスサンドや団子、アイスクリームサンデー、クリームソーダなどを用意。
『ねこ』で音楽を聴いてから『ことり』へ。食事を楽しんだあとに、カーテンの奥へ。同じ建物の中で、そのときの気分に合わせて過ごし方を選べます。
■門司から、文化が集まる場所へ
木寺さんたちが、この建物で目指しているのは喫茶だけではありません。
北九州は、製鉄や港、鉄道など産業の歴史とともに発展してきた街です。なかでも門司は、海峡を挟んで人や物が行き交い、さまざまな文化が重なってきました。
「この街で育まれてきた文化を、大事にできる場所になればいいなと思っています」
藤原さんはそう話します。
木寺さんが思い描くのは、アートを通して人が集まる場所です。
「アートが好きな人たちが、ここに集まってくるようにしたい。ここからアーティストが出ていくような感じにもしたいですね」
大正2年から残る赤煉瓦の建物。
今、その中ではクラシックやジャズが流れ、写真や絵が並び、鉄板の上ではナポリタンが音を立てています。
一人で音楽に耳を傾けるか。誰かと食事をしながら話すか。
そのどちらも、この建物に人が集まり、新たな文化が生まれていく入口になっています。
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■『名曲喫茶ねこ』『純喫茶ことり』
住所:福岡県北九州市門司区大里本町3-6-1
門司赤煉瓦プレイス内「門司麦酒煉瓦館」1階
電話:093-382-0012(共通)
営業時間:
『名曲喫茶ねこ』11:00〜17:30(オーダー及び最終入店16:00)
『純喫茶ことり』7:00〜16:00(フードラストオーダー15:00)
定休日:火曜
Instagram:@fu__neko
https://www.instagram.com/fu__neko
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※情報は2026年9月時点のものです。最新情報は公式HP、Instagram等でご確認ください。
■ 『名曲喫茶ねこ』『純喫茶ことり』
住所:福岡県北九州市門司区大里本町3-6-1 門司赤煉瓦プレイス内「門司麦酒煉瓦館」1階
Instagram:@fu__neko
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