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【ぎゅっと】中洲の福ノ神~75歳が誓う報恩の夏~(2026年7月13日OA)

ぎゅっと

2026年07月13日

博多の夜を彩る西日本最大の歓楽街・中洲。

ここで42年、暖簾を守り続ける寿司職人がいます。立岩正則(たていわまさのり)さん、75歳。客を笑顔にするその「優しい目元」が特徴的です。

「(岩正に来て)絶対に食べなきゃいけないのがレタス巻き。あのトビコの入ったね」
「ありがとうございます」

実は立岩さんは生まれも育ちも福岡市中央区。脱サラしてこの店を出したのは33歳の時です。

「嫁さんと二人で出来るかな、と思って中州を選んだんですよね。そしたらみんなから反対されて。中州で働いたこともないのに無茶やろて」

いまでは立派な中洲の顔に。

そして中洲で歩んできた証しが“山笠”です。

山笠に参加して40年。ついに今年、流の最高責任者である「総務」を務めることに。
数百人の男たちを率い、流の責任をすべて背負うポジションです。

「なんでこんな緊張するんですかね、山笠。仕事よりも緊張します。それだけ真剣かな、、、みんなのおかげですよ、みんなのおかげで総務をさせてもらっとるんですよ。自分ひとりの力じゃないですからね、こればっかりは」

“みんなのおかげ”

仲間への感謝と労いは偉くなっても変わりません。

「お疲れ様です!」
「今日は大いに盛り上がって飲んで食べて。楽しんでください!じゃんじゃん食べてよ、じゃんじゃん」
「おれ今日焼こうかね」
「のど通りませーん!(笑)」

「今年の中洲流は『福の神』がテーマなんですけど、僕らからしても立岩さんは福の神」
「娘からは中州のじーじって呼ばれて親しみやすい方です」
「立岩さんをね、泣かせたいですよね」
「あこがれの総務」

ふふ、立岩さん愛されてますね。

一番山笠の年に立岩さんの町が総務を務めるのは実に37年ぶり。前回は1989年、その時に総務を務めたのが吉田光孝(よしだみつたか)さんです。

「このとき立岩さんどこだったんですか」
「分からないです。分からない。若いね、みんな」

山笠(やま)に誘ってくれた人であり立岩さんの人生の師だといいます。

「(吉田さんは)毎日店に来てくれた。顔を見せに来るんです」

この日は吉田さんの23回忌。総務になったら必ず報告しようと決めていました。

「吉田さんがした総務を、まさか自分が出来ると思ってなかったから『来ましたよ』と」
「ましてや一番山笠とか、なんかめぐりあわせですかね」

一番山笠の総務だけに与えられる重要な役割がもう一つあります。

櫛田入りで1人で高らかに歌い上げる「博多祝い唄」。

山笠を舁く人なら誰もが憧れる姿です。

今年は立岩さんが歌います。

「僕の晴れ姿を見て貰いたいけど。本当は見せてやりたいけど・・・」

立岩さんが晴れ姿をどうしても見せたい人とは

「(奥さんは)山笠の時はなんも言いません。良くできた嫁です」

櫛田入りの「祝いめでた」それをどうしても見せたい人。妻のまりさんです。

小学校からの幼馴染。中洲に店を出すときも、文句一ついわず夫婦二人三脚でともに歩んできました。

しかし-

「急に足が動かんごとなったりするんですよ。『もし見に行ってなんかあったら迷惑かけるから見にいかんかな』とか」

まりさんは数年前から難病を患い店はおろか外出も難しい状態に。追い山笠を見に来られるか分からないといいます。

「本当は見に来たいんでしょうけどね。僕の晴れ姿を見て貰いたいですけど。本当は見せてやりたいけど・・・そうなんですよ」

たとえ見られなくても、妻に誇れる櫛田入りを。

恩師のため、妻のため。

「目を見よったら語りかけてもらう感じで。ほんといい顔してますね」

半生を過ごした「中洲」のため。すべてに胸を張れる立派な奉納を誓います。

「(中洲に対して)感謝しかないですよね、感謝だけですよ。中洲で商売初めて42年。右も左も分からん若造がみんなのおかげでここまでなってますからね。恩返しと思って一生懸命頑張ります」

フィナーレ「追い山笠」はあさってです。

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