【まさかの1500億円出資】ディズニーが「敵」だったOpenAIと手を組む理由— ソニーの失敗から学ぶ「権利ビジネス」の転換点
福岡|
12/16 15:15

KBCラジオ「アサデス。ラジオ」で、(株)Fusic 副社長の浜崎陽一郎さんが、ウォルト・ディズニー・カンパニーによるOpenAIへの巨額出資について解説。
近藤鉄太郎アナウンサーも驚く、権利に厳しいディズニーの「急転直下」の戦略変更と、その裏にあるしたたかな狙いが語られました。
【権利に厳しいディズニーが「敵対」するAI企業へ巨額出資】

週末、ウォルト・ディズニー・カンパニーが、ChatGPTを提供するOpenAIに対し、約10億ドル(約1500億円)規模の出資を行う方針を固めたというニュースが飛び込んできました。
ディズニーといえば、ミッキーマウスをはじめとするキャラクターの権利(IP)管理が世界一厳しいとも言われる企業です。
一方、OpenAIなどの生成AI企業は「勝手にデータを学習するな」と、新聞社やクリエイターから訴えられている立場にあります。
浜崎さん:「(ディズニーは)Googleに対しては『(データを)勝手に使うな』と差し止めの請求をしていて、ファイティングポーズを崩していないんです。
それなのに、敵対していたはずのOpenAIに対して急転直下、巨額のお金を出すと決めた」
【ミッキーもスター・ウォーズも「学習していいよ」】

今回の提携で、ディズニーはOpenAIに対し、過去のアニメや実写映画の動画データ、さらにはキャラクターの使用を許可します。
対象はミッキーマウスやシンデレラ、アナと雪の女王に加え、買収したマーベル(アイアンマン等)やスター・ウォーズまで。
「それも使っていいよという太っ腹なことを言い出している」と浜崎さんは解説します。
【「ラプンツェルとの恋愛動画」も作れる? 狙いは制作現場のDXとファン参加】

なぜディズニーは舵を切ったのか。
浜崎さんは、制作環境のDX(効率化)に加え、一般ユーザーの取り込みが大きな目的だと分析します。
公式のキャラクターを使って一般ユーザーが動画を作れるようになり、例えば「ラプンツェルとの恋愛動画」を自作することも可能になるかもしれません。
浜崎さん:「(日本の漫画界のように)クリエイターに門戸を広げることによって、実はいろんなものが出てくる可能性がある。
そういった意味において、ディズニーとしてはもう思い切って戦略を少し変えたなというところがある」
【「なぜ1000円のCDを100円で売るんだ」抗ったソニー・ミュージックの教訓】
もう一つの重要な視点が、「技術の進歩には抗えない」という判断です。
浜崎さんは、かつてAppleがiPodとiTunes(1曲100円〜)を出した際、音楽業界、特にソニー・ミュージックが激しく抵抗した事例を挙げました。
当時、CDなら1000円〜3000円で売れるものを安売りしたくない、ウォークマンと競合するAppleに塩を送りたくないという思いから参入が遅れた結果、違法コピーや海賊版が蔓延し、収益機会を損失しました。
浜崎さん:「ディズニーの権利を守ったとしても、もう技術的には(AIで勝手に)できちゃうんですよ。
(中略)勝手にいろんなものが作られて増えるよりも、早めにもう取り込んでしまって、ちゃんと自分たちの収益と権利を守る方向に早急に舵を切った」
【「抗う」か「取り込む」か— 日本企業へのメッセージ】

この動きは、サンリオや出版社など、強力なIPを持つ日本企業にとっても他人事ではありません。
浜崎さんは、今回の契約はキャラクタービジネスに一石を投じる大きな提携だったとし、「日本もちょっとこの辺強いところですので、損しないように頑張っていただきたい」と締めくくりました。





