Amazonの無人コンビニが続々と閉鎖。 画期的だった「レジなし」が長続きしなかった理由とは?
福岡|
03/24 21:00

KBC『アサデス。ラジオ』では、毎週火曜日、株式会社Fusic副社長の浜崎陽一郎さんが「誰かに話したくなる」暮らしや経済の旬な話題を解説しています。
今朝のテーマは、「Just Walk Out」(ただ歩き去るだけ)というキャッチフレーズでAmazonが展開したスーパーについて、相次ぐ閉鎖の理由と「技術と人間のジレンマ」について解説しました。
【まるで万引き!? 買い物ができる画期的システム】

Amazonが展開していた無人のレジなしコンビニ「Amazon Go」や生鮮食スーパー「Amazon Fresh」は、数千台のカメラやセンサーを駆使し、レジを通らずに店を出るだけで会計が完了する「キャッシャーレス」を実現しました。
2016年にシアトルで産声を上げた際は、世界の小売業界に強烈な衝撃を与えました。
浜崎:「袋を持ってお店に入り、欲しいものを入れてそのまま外に出る。まるで万引きをしたかのような感覚で買い物ができるんです」
近藤:「それ、どういうシステムになってるんですか?」
浜崎:「店内の数千台のカメラとセンサーが、誰が何を手に取ったかをAIで解析します。Amazonのアカウントと紐付いているので、後からクレジットカードで自動的に引き落とされる仕組みです」
近藤:「めちゃめちゃ便利じゃないですか!わざわざ財布を取り出す手間もいらないし」
しかし、そんな「未来のスーパー」に激震が走ります。Amazonは今年に入り、多くの店舗を閉鎖すると発表。
一体なぜ、便利だと思われたシステムが姿を消すことになったのでしょうか。
【衝撃の疑惑「裏側に1000人の人力?」】

閉鎖の理由として、浜崎さんは大きく2つのポイントを挙げました。
一つは「コストとメンテナンス」の問題です。
浜崎:「実はアメリカのメディアが『裏側で1000人のインド人スタッフが動画を見てチェックしているのではないか』と報じたんです。
1000件中700件くらいは人力で確認していたというサンプリングデータまで出まして……」
近藤:「えっ!まさか(笑)」
浜崎:「Amazon側は『学習のためであって、人力で判定しているわけではない』と否定していますが、もし仮に人力での確認がそれほど必要なら、普通にレジを置いた方がコストは安いですよね」
さらに、天井に張り巡らされた数千台のカメラの故障も頻発。
メンテナンスのために店を閉めなければならないといった「機会損失」も重なり、人件費削減のために導入した技術が、逆に膨大なコストを生んでしまったという本末転倒な状況があったようです。
【「お金を払わない不安」が客を遠ざけた】

もう一つの理由は、利用者の「心理的ハードル」でした。
浜崎:「『本当にお会計できてるの?』という心理的不安でお客さんが来なくなったという分析もあります。
同様の試みをした中国の会社も400店舗ほど展開しましたが、やはり閉店が相次いでいます。
無人決済への信頼感がまだ醸成されておらず、便利だけどなんとなく不安、という感情が勝ってしまったんです」
近藤:「面白い。便利さが逆に不安を煽ってしまったんですね」
【AIと人間の「役割分担」が重要】

今回のAmazonの事例から学べる教訓について、浜崎さんは「技術はあくまで手段であり、目的化してはいけない」と強調します。
浜崎:「AIで人間を完全に排除しようとすると、残りの数パーセントを補完するために膨大なコストがかかります。
AIと人間を対立させるのではなく、人間がやるべき部分をしっかり残し、AIがそれをサポートするという関係性を作ることが、今の時代には求められているのではないでしょうか」
近藤:「いや、裏側で人がいちいちチェックしていたかもしれないというのは興味深い。
私も(AIより)そっちを信じちゃいそうです(笑)」
浜崎:「結局、レジがあったほうがいいじゃん、となっては意味がないですからね。Amazonもこの失敗を糧に新しいことをしてくるとは思いますが、見極めが大事だということです」
最先端のAI技術をもってしても、最後は「人の安心感」や「コストの妥当性」という壁にぶつかった今回のニュース。
私たちの暮らしにAIが浸透していく中で、何を残し何を任せるのか、改めて考える時期に来ているのかもしれません。





