「私は人間です」と証明せざるを得ない時代に OpenAI サム・アルトマン氏が仕掛ける「World ID」とは?
福岡|
05/02 21:00

【KBC『アサデス。ラジオ』では、毎週火曜日、近藤鉄太郎アナウンサーと株式会社Fusic副社長の浜崎陽一郎さんが、「誰かに話したくなる」暮らしや経済の旬な話題をお届けしています。】
4月21日のテクノロジー関連ニュースで注目を集めたのが、「私はAIではなく人間です」と証明するID認証システムの話題です。
ネット上のコメントやチャットボットの回答が「本当に人間によるものか」と疑われる時代、自分自身が「生身の人間であること」を証明する必要性が出てきているといいます。
【AIが「人間のふり」をして不正を働くリスク】

今、AIが人に代わって作業を行う「AIエージェント」が普及し始めています。
しかし、浜崎さんはその裏にあるリスクを指摘します。
浜崎:「AIが人間のふりをして、近藤さんの分身をたくさん作り、勝手に不正行為を働くこともあり得るわけです。
例えばプラチナチケットを取りたい時に、AIを使って100人分の名前で申し込む。
オンラインコミュニティで、人が会話していると思ったら実はAIだった、ということも起こり得ます」
この話に近藤アナウンサーは「人間を証明しないといけないなんて、ややこしいですね」と驚きを隠せません。
【ChatGPT登場の3年前に予見されていた未来】

こうした事態を見越して、2019年に設立されたのが「Tools for Humanity」という団体です。
驚くべきは、その中心人物がOpenAIのトップ、サム・アルトマン氏であること。
浜崎:「ChatGPTが世に出るのが2022年の秋。その3年も前に、彼はAIと人間を識別するための団体を立ち上げていました。
10年先の未来を予見していたんです」
彼らが推進しているのが「World ID」というプロジェクト。
AIが人間を完全に模倣する時代において、民主主義や個人の権利を守るために「人間であることの証明」が必要だと彼らは主張しています。
【虹彩(目の模様)をスキャンする謎の球体「オーブ」】

では、どうやって「人間」だと証明するのでしょうか。
ここで登場するのが、「オーブ(Orb)」と呼ばれるボーリングの球ほどの大きさの丸い球体です。
近藤:「それこそボーリングの球くらいのイメージですかね?」
浜崎:「そうです。このオーブを数分覗き込むと、目の虹彩(模様)をスキャンします。
虹彩は双子でも全く違うため、一意性が非常に高い。
これで名前や住所ではなく『自分はロボットではない』というIDを発行するんです」
このオーブ、実はすでに日本国内にも設置されており、福岡市内でも天神、福岡空港、西区など4箇所(県内計5箇所)で登録が可能です。
東京や大阪では、登録のために行列ができるほどの反響を呼んでいるといいます。
「人間であること」が当たり前ではなくなる
かつては「人間が何かをすること」が前提の社会でしたが、AIが東大や京大の試験を解き、人間と同レベルの処理ができるようになった今、私たちの存在の証明が求められています。
しかし、懸念点もあります。
虹彩という究極の個人情報は、パスワードのように「漏洩したから変える」ことができません。
そのため、利用を制限している国もあります。
近藤:「映画の世界みたいな感じですよね。そんなストーリーができそう」
浜崎:「空想ではなく、数年後にやってくるかもしれない現実の未来に、今急速に踏み込んでいます。
今日は、ついに『人間を証明する時代』がやってきたというお話でした」
身近な場所に設置され始めた「人間証明装置」。
私たちは、自分自身が「人間であること」を機械に証明する未来をどう受け止めるべきなのでしょうか。





