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名物「海中レストラン」一旦の幕 老朽化でリニューアル、旧店舗は人工漁礁に

佐賀

06/04 21:00

イカの活き造りで知られる佐賀県唐津市呼子町の名物「海中レストラン 萬坊」がリニューアルされることになり、43年の歴史に一旦幕を下ろしました。

「最終営業日」には多くのファンが詰めかけ、しばしの別れを惜しみました。

一方、長崎の造船所では新たな海中レストランが建造中。

多くの人の想いを乗せた「萬坊」の過去と未来を追いました。

■「今日しかないなと」43年の歴史に“幕”

佐賀・呼子町の穏やかな湾内に浮かぶ「萬坊」。

桟橋をわたって店内に入るとフロントがあり、階段を降りると海面より下の世界に。

中央に巨大ないけす、外側に大きな窓があり、海の中にいる感覚で食事を楽しめます。

5月31日は全国から駆けつけた大勢の客でにぎわっていました。

ある客は「リニューアル前の最後と知ったので、もう今日しかないなと」と名残惜しそうな様子。

仙台から訪れたという家族連れは「最後って聞いたので予約して来ました」。

イカの刺身を食べた男の子は「おいしかった」と笑顔で話していました。

■2代目社長の決断「いよいよ切り替えかなと」

リニューアルの決断をしたのは、2代目社長の太田順子さん。

「店舗自体が43年経ってだいぶ老朽化し、手すり部分も腐食して、安全の面でもいよいよ切り替えかなと判断しました」と理由を明かします。

現在の海中レストランができたのは43年前、太田社長が4歳のころでした。

当時の資料の中には、当時の佐賀県知事宛ての「万が一のことがあって経営が立ち行かなくなったら責任をもって建物を撤去します」という“念書”もありました。

太田社長は「情熱で建てられたんだなと」と思いを馳せます。

「最終営業日」には149組428人が来店しました。

太田社長は「うれしいのもありますし、こみ上げるものはありました」と語りました。

■進む「新・萬坊」建造プロジェクト

いまの店舗での営業は終わりますが、長崎市にある創業100年近い歴史を持つ井筒造船所で、新たな海中レストランの建造が進んでいます。

この海中レストランは、エンジンこそないものの「船」として扱われます。

建造は、地上で複数のブロックを組み立て、それらを船台の上に搭載して形を作っていく工法で進められています。

新たな萬坊は、船底部16、海上部8、屋上階3の合計27ブロックからなります。

この先40年以上営業を続けるためには、船体をいかにサビから守るかが重要になるといいます。

船体を電気のバリアでサビから守る「マカップス」と呼ばれる装置が取り付けられました。

造船所で班長を務めた伊藤芳弥さんは「こういう形の船を造ったのは初めて。本当に自分たちでできるのかなとは思ったけど、こういう仕事もなかなかないだろうと」と特別なプロジェクトへの想いを語ります。

最後のブロックを載せてから1週間後、進水の日を迎えました。

井筒造船所の吉原隆社長は「特別な日ですね。あとは見守るという格好」。

建造に携わった人たちが見守るなか、重さ450トンの船体はゆっくりと海へと進みました。

■旧店舗は「人工魚礁」に 「萬坊」の新たな挑戦

無事進水し、萬坊の太田社長は「喜びも大きかったですが、こんなに立派なものを造ってもらったんだから、しっかり営業していかないといけないなというプレッシャーがやっぱり大きい」と、決意を新たにします。

多くの人々に愛された旧「萬坊」は、長崎県沖の海底に沈められ「人工魚礁」になる予定です。

魚たちのすみかとなり、海の豊かさに貢献します。

新しく生まれ変わる「海中レストラン 萬坊」は、長崎市内にある井筒造船所で完成後は曳航してきて呼子市内の同じ場所でリニューアルオープン予定です。

43年の歴史と多くの人の想いを引き継ぎ、新たな物語を紡ぎ始めます。

6月4日(木)のニュース