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カツアゲ疑惑に揺れる福岡県議会 それぞれの言い分は 事実なら何に問われる?

福岡

07/12 19:00

金銭授受疑惑に揺れる福岡県議会

 福岡県議会で議長・副議長経験者から「就任前に自民会派の幹部にカネを支払った」という証言が相次いでいる。「カツアゲ(恐喝)」として、当時のやりとりを記録したという音声データも公開された。一方、受け取ったと名指しされた側は授受を否定。それぞれの主張を整理する。

■「ゴルフ会」「お車代」計2千万円支払いを主張

吉松源昭県議

 元福岡県議会議長で現職県議の吉松源昭氏が今月、2020年6月の議長就任前の18~20年に合計約2千万円を自民幹部に支払ったと明かした。
 現副議長の中尾正幸氏ら自民会派「自民党県議団」の幹部から「お車代」「他会派への根回し」などの名目で要求されたとして次のような支払いがあったと主張している。
・18年12月 原口剣生県議から「他会派とのゴルフ会費用」として550万円要求(支払い)
・19年10月 中尾氏から「宿泊ゴルフ代」として1千万円要求(支払い)
・20年1月 中洲の料亭で新年会約90万円(支払い)
・20年4月 中洲の料亭の会食費約49万円(支払い)、会食後「お車代」として各50万円(別の県議と折半して支払い)
・20年6月 中尾氏から「宿泊ゴルフ代を蔵内勇夫・現県議会議長が立て替えた」として400万円要求(別の県議と折半して支払い)

■「事実無根」「『渡した』と言っているんだから渡している」

中尾正幸副議長

 吉松氏は「人の弱みにつけこんだカツアゲ」と語り、19年当時の中尾氏とのやり取りを録音したという音声データも公開した。録音には、こんな発言が記録されていた。
 「明日、松本会長が荷物を預かります。責任もってちゃんと立ち会いますから」
 「ちょっとね、大金やけんね、管理しとかんとね」
 中尾氏は当時、自民党県議団幹事長。取材に「吉松さんの方から『やっぱりお金がいるんでしょ』と持ちかけられまして、1千万円の話も出ました。松本会長とわたしは丁寧にお断りしました」「事実無根だと思っております」と主張。「大金とか、荷物とか、そんな言い方するかな」とも語った。吉松氏に現金を渡したと名指しされた当時自民党県議団会長の松本国寛氏も取材に「そういう事実はない」と否定している。
 吉松氏は「よくそんなことが言えたなと思っています。渡した本人が『渡した』と言っているんだから渡しているんですよ」と反論している。

 ゴルフ会費用として550万円を要求したと名指しされた原口氏も取材に「そういったことに携わることがまずないから、そういったことは一切ありません」と否定。吉松氏が「カツアゲだった」と訴えていることについては、「そういう言葉をね、使うこと自体がどういうふうなことを考えて言っているのかなという。私はそれも情けない」と話している。

■続く証言「長年の慣例として」

江藤秀之県議

 吉松氏以外にも現金授受を実名で認める県議がいる。
 元副議長で現在も自民党県議団に所属する江藤秀之氏。取材に「20年1月か2月頃に500万円(中尾副議長に直接)、20年4月に125万円(お車代折半)、20年6月に200万円(蔵内会折半)をそれぞれ慣例(決まりごと)に従い支払いました」と文書で回答した。
 江藤氏は「副議長に就任するための長年の慣例 (決まりごと)として当時は認識して支払いましたが、今思えば良くないことだったと深く反省しております」「県民の皆様の信頼を一日も早く取り戻すために、一人ひとりの議員が誠実に襟を正していくことが、今の福岡県議会に最も必要であると強く確信しております」と訴えている。

■「蔵内会」とは

蔵内勇夫議長

 吉松氏、江藤氏は現福岡県議会議長の蔵内勇夫氏が参加する「蔵内会」というゴルフ会があり、それに関して現金を渡したと語っている。
 これについて蔵内氏は取材に「これはプライベートな有志の会でございまして、そういった金銭の会ではございません」と否定。金銭授受について「そういう文化はとっくになくなっていますよ、福岡県議会」と語った。
 記者が「昔はあったんですか」とたずねると、「知りません」と答えた。
 蔵内氏は吉松氏について「僕は彼を育ててきたつもりなんだ。どこでああなっちゃったのかね。残念です」とも話している。

 授受が事実ならどのような罪に問われるのか。
 元東京地検検事の三角亘平弁護士は、「『議長になりたければ払え』と言ったといえる証拠があれば贈収賄にあたる可能性が高い」とする。ただ、密室であることなどから証拠が乏しく、贈賄の時効は3年、単純収賄の時効は5年で、現時点では立証上のハードルは高い、とみる。「ただし、政治責任・説明責任は免れないのではないか」と指摘している。
 収支報告書への不記載・虚偽記載と認定されれば、政治資金規正法違反にあたる可能性もある。しかし、こちらも時効は5年となっている。
 福岡県議会は近く、全議員を対象にした調査を始める。

7月12日(日)のニュース