「医療スタッフの疲弊も…」熊本地震1週間…氷川町唯一の病院が直面する現状と課題 患者の持病悪化の懸念も
福岡|
08/04 17:45

最大震度7を観測した熊本での地震から、8月4日でちょうど1週間が経過しました。照り付ける太陽と危険な暑さで、被災地は過酷な状況が続いています。こうした中、熊本県氷川町にある地域唯一の病院でも、医療現場の戦いが続いています。
■「発災当日は徹夜で100人」救急患者が殺到

熊本県氷川町にある「八代北部地域医療センター」。地域の生活を支える、エリア唯一の病院です。
吉田光宏院長によると、地震により一部の医療機器が破損する被害が出たものの、発災当日から診療を再開。当日は医師らが徹夜で約100人の外傷患者に対応し、翌日にはDMAT(災害派遣医療チーム)の支援を受けながら約280人を受け入れました。
この日も、病院を訪れる患者が相次ぎました。
地震で頭を負傷した女性(64)は病院が開いていることに「感謝しかない」と話しています。また、倒壊した家屋で足を負傷した娘(21)の付き添いで訪れた女性(53)は「この病院がなければ遠くまで通う必要があるため、ありがたい」と感謝の言葉を口にしていました。
現在も約90人が入院していますが、救急患者の多くを占めているのが「熱中症」です。猛暑のなかでの片付け作業や、飲み水を手にいれにくいことが影響しているとみられ、高齢者を中心に急増しているといいます。
■水不足と物資の不安定さ――自衛隊や他自治体の支援で「命のバトン」

病院を一時機能停止寸前にまで追い込んだのが「断水」でした。
貯水槽の水は発災後わずか1日半で枯渇。一時は病院機能の停止も検討されましたが、自衛隊による水の補給や、他自治体から派遣された給水車が往復2時間かけて一日に何度もピストン輸送を行い、なんとか医療活動を継続できています。
この日も鹿児島県霧島市の給水車から、水の補給が行われていました。
町内ではごく一部で試験通水が始まったものの、依然としてほぼ全域で断水が続いています。病院内では給水車による水の供給が安定したことで、3日に発災後初めて入院患者の入浴が再開され、ご飯も炊いて提供できるようになりました。しかし、医療資材や食材の安定供給、そして何より水道の完全復旧が待たれる状況となっています。
■1週間が経過し変化する病状――次にやってくる「フェーズ2」の課題

吉田光宏院長によると、発生から1週間が経ち、患者の傾向にも変化が出てきているといいます。
発災直後の「外傷」中心から、現在は熱中症や発熱、心不全のほか、長引く避難所生活による急性ストレス反応(心理的負荷)や呼吸器疾患を訴える人が増えています。
さらに、今後について次のように懸念を示します。
「厳しい環境下で1週間過ごされた方々が、疲れの蓄積や持病(高血圧・糖尿病など)の悪化によって体調を崩し、受診されるケースが増えてくると予想されます。避難所で提供される食事は塩分やカロリーの管理が難しいため、ご自身の体調を見ながらコントロールすることや、巡回している栄養士に相談することが大切です」
■現場を支え続けたスタッフの疲弊とDMAT撤退後の懸念

地域医療の崩壊を防ぐため、現場の医療スタッフは発災後の1週間、走り続けています。
しかし、吉田院長は「頑張ってきた職員の疲弊が色濃くなっている」と指摘します。現在はDMATの支援によって対応できているものの、今後DMATが引き揚げた後、限られた自前のスタッフでいかに地域医療を継続していくかが課題となっています。
完全に元の状態へ戻るまでの道のりはまだ長く、病院と被災地には長期的な支援とケアが求められています。







