福岡県内で高齢者の交通事故 今年2854件 事故防止のポイントは「多段階停車」
福岡|
09/28 19:42

秋の交通安全県民運動の期間中ですが、福岡県内では交通事故が相次いでいます。特に高齢者の絡む交通事故が多く、福岡県警によりますと、県内の発生件数は2854件(2026年1月から8月末、前年同月比−93件)となっています。
こうした中、福岡市城南区の福岡県自動車学校で、実技を伴った講習会が行われました。
講師を務めたのは南警察署と城南警察署の警察官。さらに、カーディーラーの「ホンダモビリティ九州」の担当者たちです。南区と城南区の高齢者8人が参加しました。
■「多段階停車」で交差点の事故を防ぐ

実技の1つとして行われたのは「多段階停車」です。1段階目は「停止線で止まる」というもの。これは、交通ルールにのっとった停止です。しかし、一度止まったからといって、交差点に一気に進入しません。
2段階目は、車を少し前進させて止まり、自分の存在を周囲の車や歩行者に“知らせる”という動きです。車の先端が少し交差点に近づくことで、“あそこから車が出てきそうだ”と周囲に気付かせる狙いがあります。
3段階目は、さらに少しだけ車を前進させて、交差点の左右が見える位置まで進んで止まります。自分の目で、再度、他の車や歩行者がいないか確認してから、交差点に進入するという手順です。
3段階で車を停止させるため、少し時間がかかります。だからこそ事故が防げる―それが多段階停車の狙いでもあります。
参加した高齢者は「結構、死角があるんだなと思った」「車好きだけど意外とできなかった」などと話していました。
■自分の“衰え”を自覚する

こうした多段階停車が推奨される理由の1つは、加齢に伴う反応速度の低下です。自分はまだまだ元気…と思っていても、体の機能は年齢と共に低下していきます。
これを自覚してもらおうと、警察官による「アクセル」と「ブレーキ」という掛け声に合わせて、“ペダルの踏み分け”が行われました。
参加した高齢者は、それぞれエンジンをかけていない車に乗っていて、ブレーキを踏むと、赤いブレーキランプが点灯する状態です。
最初は、ゆっくり、「ブレーキ」「アクセル」「アクセル」「ブレーキ」・・・観察している限り、皆さん、テンポよくペダルの踏み分けに成功していました。
しかし、徐々にスピードが上がると、ブレーキランプが点灯するタイミングが、掛け声に合わなくなりました。
中には「ブレーキ」という掛け声にもかかわらず、ブレーキランプが点灯しない車もありました。
まさに、これが“とっさの状態”と同じです。瞬時に反応できれば良いですが、反応できなければ事故になってしまいます。
南警察署の大古場歩交通第一課長は「まずは自分の衰えを自覚する。体調を確認し、夜は運転しないなど運転能力を理解することが大事」と指摘しています。
■CGで体感「事故のケース」と予測の大切さ

また、事故を防ぐためには“予測”もポイントです。ホンダモビリティ九州が用意したのは、運転席の目線で、事故の再現を体感できるCGを使った講習です。
例えば、CGで再現されたのは、2車線の道路で自分が歩道側を車で走っている時に、右車線前方にタクシーが走っている状況です。
タクシーがふと手を上げている人を見つけて、急な車線変更で自分の前方に入ってきて停止。止まり切れずに追突してしまうという場面です。
もちろん、急な車線変更をしたタクシーに責任がありますが、“予測”して運転すれば、衝突を回避し、自分の命を守ることができる場面でもあります。
担当者は、運転中はあらゆる事態を想定して、周囲に注意を払うことが大切だと言います。
■自分の意識を変えることから「安全」「安心」に

今回の講習会は「交通事故」「犯罪被害」「自然災害」などから高齢者の身を守ろうと「みなみ・スリーエス・クラブ」と題して開催されているものです。
今回で9回目となり、延べ110人の高齢者が参加したことになります。
交通講習のほか、生活安全課による「特殊詐欺」を未然に防ぐ方法や、警備課による「風水害への備え」など、総合的な講習が3時間行われました。
警察は、事故の傾向や特殊詐欺の手口に合わせて、講習内容を変更していくとしています。次回は12月に開催予定だということです。







