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砂と水だけで作る芸術作品に密着 福岡・芦屋に世界のアーティストが集結

福岡|

11/02 17:00

 福岡県芦屋町で毎年恒例の「あしや砂像展」が開かれています。砂と水で作り上げる芸術作品。大迫力の砂像はどのようにできあがるのか、制作現場に密着しました。

■世界のトップアーティスト10人が福岡・芦屋に集結

 10月上旬、芦屋町の芦屋海浜公園に、巨大な砂の山が出現しました。「あしや砂像展2026」の舞台となる砂のキャンバスです。最も大きいもので幅11m、高さ4mにもなります。
 ここに集まったのは、カナダ、スペイン、ロシアなど世界8カ国10人の砂像アーティスト。国際大会で数々のタイトルを獲得してきた実力者たちです。
 今年のテーマは「砂で作るサッカー王国」。サッカー・ワールドカップにちなんだ10カ国をモチーフに1人1作品、2週間かけて計10体の砂像が制作されます。

■「コンクリート並み」の硬さを生む驚きの技法

 一見するとコンクリートブロックのようにも見える砂の塊。砂像展のプロデューサーの茶圓勝彦さんは「砂と水」だけで作られていると明かします。
 砂と水をほぼ1:1で混ぜ、重機を使って徹底的に圧縮。こうして固められた砂の塊は、屋外でも約1カ月その形を保つといいます。アーティストたちが、このキャンバスにそれぞれの技法で命を吹き込んでいきます。

■タブレット使い緻密に計算

 ワールドカップ優勝国スペイン出身のオスカー・ロドリゲスさんの作品テーマは、母国スペインの文化です。サグラダ・ファミリアやフラメンコ、サッカー選手たちを一枚の絵のように彫り上げます。
 タブレットを使い、彫る位置を緻密に計算。「作業前に全体のアウトラインを調整しておくことが重要。ここで間違えると、あとで問題が起きてしまいます」。制作は天候との戦いでもあります。
 「風が強いから彫った部分に砂が入って…それを取るのに時間を取られます」と、コントロールできない自然の力に苦労する場面も。砂像制作は、繊細な技術だけでなく、自然と向き合う忍耐力も試されます。

■「今見なければ二度と見られない」砂像の“はかない”魅力

 2週間にわたる制作の末、ついにワールドカップをテーマにした壮大な砂像が完成しました。
 完成したオスカーさんの作品には、ある視覚的なトリックが隠されています。手前の彫刻をあえて薄く作ることで、遠くから見たときに奥行きと立体感が生まれるように計算されているのです。「これは立体的な錯覚です」とオスカーさん。この工夫で、見る角度によって表情を変える、ダイナミックなアートが生まれます。
屋外に展示される砂像は、台風や大雨など天候の影響を受けます。過去の砂像展では、オープンからわずか4日で作品が原形をとどめないほどの被害を受けたこともありました。今回も台風による大雨で作品の一部が崩れましたが、日本のアーティストが可能な範囲で復元にあたりました。
 オスカーさんは「『ただの砂』に戻っていくという概念がとても気に入っています」と語ります。そのはかなさこそが砂像アートの魅力なのです。
 「今見なければ二度と見られない。だからこそみなさんがイベントに足を運んで見に来てくれるのだと思う」

11月2日(月)のニュース