党員票で圧倒…“逆転勝利”の原動力に 自民党新総裁に高市氏
政治|
10/04 22:30
5人の候補による戦いを制したのは、高市早苗氏でした。事前の予想では小泉氏リードが伝えられていた中での、逆転勝利でした。(10月4日OA「サタデーステーション」)
■海外メディアも速報
下馬評を覆し、女性として初めて新総裁の座を手にした高市早苗氏、64歳。12日間の戦いを終え、笑顔とともに、そのイスに座ります。
自民党
高市早苗新総裁(午後7時ごろ)
「大変な重責を担ったという緊張感がございます」
「(Q座り心地は?)パソコンを打つとか、そういう作業にはあんまり向いていないけど、伝統と格式のある椅子なんだろうなと思います。来月で立党70周年でございます。そんな中で女性の総裁が初めて誕生した。これも自民党の景色が少し変わる」
地元・奈良は、初の女性総裁誕生に沸いています。
地元の集会に参加していた女性(奈良・天理市)
「早苗さん、総理大臣になっていただきたい」
号外を受け取った人(奈良市)
「多様性の時代なので、女性というところも代表して頑張っていただけたら」
決選投票に進みながらも、29票差で敗れた小泉進次郎氏は。
小泉進次郎氏(午後3時ごろ)
「選ばれた新総裁の下で、みんな一致結束、チーム自民党を作り上げる」
「(Q敗因は?)それは私の力不足が一番だと思いますね」
安倍元総理に近い保守派として知られる高市氏。靖国神社参拝については、明言を避けています。
自民党
高市早苗新総裁(総裁として初の会見
午後6時すぎ)
「どのように慰霊をするのか、また、どのように平和を祈るのか、こういったことについては、適時適切に判断させていただきます」
中国国営メディアは、事実関係を短く伝えたのみですが、関心は高く、検索ランキングでは1位になり、極端なコメントも見られます。
中国のSNS
「彼女は極端に反中で、最初にやることは靖国神社参拝だろう」
中国外務省は、次のようにけん制しています。
中国外務省
「我々は選挙結果を注視しているが、これは日本の内政問題である。積極的で理性的な対中政策を堅持するよう希望する」
トランプ大統領の来日を控えたアメリカも、東京と中継を交え、伝えています。
アメリカCNN
「彼女は保守派の国家主義者であり、イギリス・サッチャー元首相を『尊敬する人物』に挙げています。そんな彼女が日本の総理大臣になる見込みです」
「彼女の勝利は、自民党が保守的なルーツに立ち返ることを意味しています。保守派の信頼を取り戻す狙いがあります」
■党員票が勝利の原動力に
“変われ自民党”をテーマに、12日間にわたって進められてきた自民党総裁選。投開票が始まったのは、午後1時すぎ、まずは国会議員295人による投票です。先に衆議院、その後に参議院、それぞれ五十音順になるため、カギを握る人物が早々に投票を行いました。
まずは、40人を超える党内唯一の派閥を率いる麻生最高顧問、85歳。険しい表情でしたが、最後に笑顔も見せました。そして、バトンを渡す側となった石破総理大臣。さらに、旧派閥に今も影響力を持つ岸田前総理。終始表情を変えませんでした。その後、立候補した5人も続き、20分ほどで295票の行方が決まりました。
そして、今回、重要な役割を果たしたのが、全国およそ91万人の自民党員らによる党員票です。議員票と同数の295票に比例配分され、合わせて590票。サタデーステーションは、3人を支持する党員をそれぞれ取材していました。
名古屋市で行政書士として働く藤川さんは、去年に引き続き、高市氏に投票。
高市氏に投票した自民党員
藤川さん
「国家観がしっかりしていることと、外交政策において安倍元総理のやってきたことを継承してくれるんじゃないかなと」
一方、石破総理の地元・鳥取では、“石破票”が小泉氏や林氏に分散していたようです。石破総理とは何度もお酒を飲んだ仲だという小河さんは小泉氏に投票。
小泉氏に投票した党員
小河さん
「他の人よりは小泉だったら、自民党に惹きつける魅力があると思ってる」
鳥取で柿農家をしている細田さんは林氏に投票しました。
林氏に投票した自民党員
細田さん
「安定感が一番あるということで、石破総理の思いを次の政権で継承して欲しいなと」
全国の党員も注目する中、開票作業が終了。1位の候補が過半数を獲得すれば新総裁が決定、そうでなければ、上位2人による決選投票になりますが。
逢沢一郎
総裁選挙管理委員長(午後2時ごろ)
「議員票は、林芳正くん 72票、高市早苗くん 64票、小泉進次郎くん 80票。次に党員算定票は、林芳正くん 62票、高市早苗くん 119票、小泉進次郎くん 84票」
誰も過半数に届かず、高市氏と小泉氏の決選投票になりました。党員票が一番多かった高市氏は厳しい表情のまま。一方、党員票が伸び悩みながらも議員票が一番多かった小泉氏は、笑顔も見せていました。
林氏に投票した自民党員
細田さん
「党員票が高市さんの半分ですよね。もうちょっと伸びると思ったんですけどね」
決選投票では党員票の比重が減り、各都道府県連に1票ずつの47票に。1回目で2人以外に入っていた議員票がどちらに動くかがポイントになり、最後の訴えにも力が入ります。
小泉進次郎氏(決選投票直前の“最後の訴え”)
「自民党にはまだまだ国民の皆さんの役に立てる、そういう力がある。ともに自民党を一つに、そして政治を前に、日本を前に進めていこうじゃありませんか」
高市早苗氏(決選投票直前の“最後の訴え”)
「日本と日本人を心から愛する者として、日本と日本人の底力を信じてやまない者として、私は三度立候補いたしました」
■決選投票では小泉氏に“完勝”
午後2時すぎ、いよいよ決選投票が始まりました。派閥を率いる麻生最高顧問は、1回目で党員票が一番多かった候補を支持する意向を周囲に伝えていたといいます。そして…。
逢沢一郎
総裁選挙管理委員長(午後3時ごろ)
「まず議員票は、高市早苗くん 149票、小泉進次郎くん 145票。次に都道府県票は、高市早苗くん 36票、小泉進次郎くん 11票。高市早苗くんをもって当選者と決しました」
自民党の新総裁は高市氏に決定。
小泉氏に投票した党員
小河さん
「ありゃ
負けたがな」
高市氏に投票した自民党員
藤川さん
「昨年の総裁選で党員票が全然反映されなかった。今回その反省を受けて反映がなされていった。これは本当によかったことだなと」
自民党
高市早苗新総裁(総裁選出直後の挨拶)
「もう全員に働いていただきます。馬車馬のように働いていただきます。私自身も『ワークライフバランス』という言葉を捨てます。働いて、働いて、働いて、働いて、働いて、まいります」
■高市氏なぜ勝利?麻生氏の意向が影響か
高島彩キャスター
「改めて投票結果です」
板倉朋希アナウンサー
「まず1回目の投票では、高市さんが議員票64、党員・党友票119票、合計183票でトップ。小泉さんは議員票では高市さんを上回りましたが、合計164票で2位に。林さんは議員票を72票まで伸ばしましたが3位。続いて小林さんが4位、茂木さんが5位がという結果でした」
「そして決選投票ですが、事前の見通しでは『議員票は小泉さんが有利』とみられていましたが、結果は高市さんが149票、小泉さんが145票、都道府県票でも高市さんが上回り新総裁に選出されました」
高島彩キャスター
「山本政治部長は、議員票の動きをどう見ましたか?」
テレビ朝日
山本志門政治部長
「高市さんの議員票を聞いた時に少し驚きましたね。1回目の投票から決選投票で85票が積み増しされているんですよ。相当な塊が入ったと見るべきですね。小林さんの44票と茂木さん34票、ここがまるまる高市さんに乗った可能性が高いんですね。全部が全部というわけではないんですが、相当な票が入ったと。小林さん自身も『高市さんに投票した』と明らかにしていますし、茂木さんの陣営もだいたいが高市さんに投票したという見方を示しているので、ここが塊として動いたことが今回大きかったんだろうと思います」
高島彩キャスター
「林さんの票はそのまま小泉さんに流れた、ということなんでしょうか?」
テレビ朝日
山本志門政治部長
「そうですね。林さんが小泉さんに乗っかったというところで、バランス的にはこういった票の出方をしたのかなと見ています」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「けさの麻生さんの一言が気になっているんですが、『決選投票になったら1回目の投票で1位になった候補に投票する』と。1回目の投票では党員票に優位な高市さんが1位になるだろうという大方の見方でしたから、事実上はもう『高市さん』に、という事だったんでしょうか?」
テレビ朝日
山本志門政治部長
「麻生さんは、高市さんを念頭に票を入れるという、ある意味、流れを作ったというべきだと思います。麻生さんは、麻生派を率いていますから、全部が全部という訳ではありませんが、相当部分の票が高市さんに流れたという事と、麻生さんと連携をする茂木さんの塊もこれに呼応して高市さんにつながった。まさに流れが作られたんだろうと思います」
高島彩キャスター
「こういった派閥の意向もあると思いますが、それだけではなくて、『もう党員票は無視できないだろう』という、そういった流れを考えて個人個人で動いたとも考えられますよね?」
テレビ朝日
山本志門政治部長
「取材をすると、『党員票の出方に影響された』という議員も多かったんです。小泉さんよりも高市さんはおよそ1.5倍の党員票を得た訳で、その党員票の思いを議員の票でひっくり返していいのか、国民の声を聞く総裁選ですから、その辺の議員心理が働いて、今回かなりの議員が高市さんに投票したんだろうと思います」