11月なのに…セミ鳴き声 鍋シーズン前に“名脇役”の価格高騰で農家悲鳴
社会|
11/17 23:30
月曜日から急激に冷え込むようなんですが、これまでの長引く暑さで、鍋の“名脇役”、あの野菜にも影響が…
■11月なのにセミの鳴き声 カツオも豊漁
ようやく色づき始めた、都心の木々。行楽日和となったこの日、多くの人たちが、黄金色に染まる並木の散策を楽しんでいました。しかし…
(林智弘記者)「11月17日なんですが、セミが鳴いています」
気温25℃を越え、9月下旬並みとなった東京都内では半袖姿の人たちも…
長引く暖かさは、“海の幸”に影響を与えていました。全国有数のカツオの水揚げを誇る気仙沼市では、すでに前年を大きく上回る漁獲量を記録。
石巻市では、高級魚の「タチウオ」がここ数年で増加していました。
さらに茨城県日立市では、“イセエビ”のおととしの漁獲量が、10年前の約11倍になっているといいます。
各地で起きる“海の異変”。専門家は海水の温度が影響しているといいます。
(三重大学
立花義裕教授)「今、日本付近の海というのは世界でも一番高温異常なんですよ。日本海側も太平洋側も三陸沖も、日本全体を取り囲むようにむちゃくちゃ暑いんですよ。」
海面水温の平年差を見ると、とくに東北地方の沿岸部では、最大6℃上昇しているのが分かります。
(三重大学
立花義裕教授)「水温というのはいったん温まるとなかなか下がらないんですよ。いまだに(気温が)暑いというのも水温が異常に高いことの影響なんですね。」
■鍋の“名脇役”長ネギ 生育遅れ高騰
暑さの影響は、農作物にも―。
「すごい、一面ネギですね。」
青々と広がるネギ畑。本来なら旬を迎えているはずですが…
(正八つくば ネギ担当 平林達也さん)「夏が長すぎた。やっぱり寒くならないとネギ自体が厚み(太さ)を増していかない。本来の11月だともっとネギっぽくなってくるというか、ブリブリしてくる感じなのが、まだちょっとそこまで至っていないかな」
例年落ち着いてくるはずの価格も、高騰が続くネギ。
こちらの農場では、長引く暑さから生育が遅れ、出荷の計画や収益が不安定になっているといいます。
(正八つくば ネギ担当 平林達也さん)「ネギは畑に長くいるので、(気温の)影響がすごく大きい。いつまでも(畑に)残っていると薬(農薬)をまかなきゃいけなかったりとか、管理のコストが上がっちゃう。」
そこで手を組んだのが、食品宅配サービスの「Oisix」です。バイヤーが注目するのは、長ネギの…“青い部分”
(オイシックス・ラ・大地 佐藤由梨 農産部長)「ほとんどが捨ててしまっていたりとか、商品としてお客様にお届けできていることはほとんどないので、このネギの生育の実態と共に、お客様においしく食べていただける形にして、届けられたら…」
店頭で販売しやすいよう、長さを切りそろえて出荷される長ネギ。カットされた部分は、多くが廃棄処分されます。
(正八つくば ネギ担当 平林達也さん)「もったいないという声もいっぱいもありますし、形が割ときれいなものが多いので…」
炒め物や薬味にすれば、おいしく食べられる“青い部分”。捨てずに販売することで、生産者の収益にもつながります。
(オイシックス・ラ・大地 佐藤由梨 農産部長)「秋と春がないという状態。それをネガティブに捉えるのではなくて、今まで目を向けていなかった商品に目を向けたりとか、新しい食生活だったり食体験をお客様に届けることができると思っている」
しかし、生産者は今後の不安をぬぐい切れません。
(正八つくば 雨宮良太代表)「昔ながらの先人の教えってあったんですよ。ただ最近そのルールが通用しなくなっちゃって、毎年毎年変わっちゃうもので、けっこうばくちの要素が増えている。年末商戦目指してやっていた農家さんは相当難しくなっていますよね。」
■夏から一気に“冬”へ 気温急降下
一方、気温に翻弄される店もありました。
「2枚ずつお預かりします。全部で今日8点ですね」
(草薙和輝アナウンサー)「開店からまだ30分ほどしか経っていないんですが、こちらにはこのようにお客さんからたくさんの掛け布団が預けられています。」
布団を丸ごと洗ってくれるこちらのお店。最短3時間で仕上がるのが人気です。
(利用者)「他店に伺ったら1週間くらいかかるって言っていたので急遽こちらに」
「気温が下がるみたいだから、使う前に綺麗にしようと思って」
東京では11月に入っても20℃を超える日が続きましたが、水曜には一気に10℃まで冷え込む予報。駆け込み需要の多さに、急遽スタッフを増員したといいます。
(フトン巻きのジロー
秀野風香店長)「季節の変わり目にご利用いただいているので、(冷え込む)予報が出たのもあってかなり忙しくなるかなと思います。」
11月17日『有働Times』より