人気の無人島で進む“砂浜侵食” 「茨城のゴールドコースト」でも… 消える海水浴場
社会|
08/21 19:21
幻想的な風景が広がる場所として人気の神奈川県の「猿島」。かつて多くの人でにぎわった島の海水浴場が今、閉鎖に追い込まれています。一体、何が起きているのでしょうか。
■人気の無人島で進む“砂浜侵食”
今、人気が沸騰している観光スポットは横須賀市中心部から船で10分ほどの場所にあります。
東京湾に浮かぶ無人島「猿島」。広さ東京ドーム1.2個分の小さな島ですが、21日も多くの観光客が訪れていました。
お目当ては、何といっても…。
観光客
「インスタグラムで(知った)。ジブリの世界みたいだな」
幕末から太平洋戦争の終わりまで首都防衛のための要塞として機能していた猿島。今も砲台や要塞の跡が残っていて、近年、「幻想的でアニメの世界のようだ」などとSNSを中心に話題となっています。
観光客
「陸から見るのと違う雰囲気があって良い」
来島者数は去年、20万人を突破。今年は過去最多となる見込みです。
そんな勢いに乗る猿島ですが、少し寂しげなエリアが…。
猿島を管理
トライアングル
山本広大さん
「元々ここは海水浴場として開設していて…」
海水浴客にも人気が高かった猿島。過去には、砂浜がパラソルやテントで埋め尽くされるほどでした。ところが、状況は一変。一部を残し、砂浜が姿を消しました。
山本広大さん
「(10年前に比べ)約20メートル、海岸線が陸に戻ってきている状況」
2014年当時の猿島の海水浴場と比べると、現在は砂浜の面積が大幅に狭くなり、海水が砂浜の上の建物に迫っています。およそ10年で、じわじわと砂浜の侵食が進んでいるということです。
山本広大さん
「昔、船を着ける桟橋がこちら側に。新しく(現在の)桟橋ができたことで潮流が変わったのではないか」
こうした状況を受け、横須賀市などは2019年から猿島の海水浴場を閉鎖。他のエリアに開設することも模索しましたが、現在も再開の見通しは立っていません。
観光客
「(海に)入りたかった。子どもはもっと入りたいと思うけど、『きょうは足だけね』と」
■「茨城のゴールドコースト」でも
実は砂浜の侵食、猿島に限ったことではありません。
例えば、千葉県銚子市の海鹿島海水浴場。客の減少が一番の要因ではあるものの、砂浜の侵食もあり、今年から開設を断念しました。
“茨城のゴールドコースト”の愛称で親しまれる大竹海岸鉾田海水浴場も去年、侵食の影響で閉鎖。今年は砂を投入する工事を行い、何とか開設にこぎ着けました。
日本の海水浴場で何が起きているのでしょうか。
茨城大学
横木裕宗教授
「(海岸の)砂は川の河口から波により運ばれている。砂の流れをどこかでせき止めてしまっているか、あるいは砂が流れない河口に供給する土砂が少なくなっている。長い目で見ると、どんどん侵食していく傾向にあるのでは」
専門家は、全国どこの海水浴場でも砂浜の侵食は起こる可能性があると指摘しています。