神戸市で起きた女性殺害事件。発生から2日が経った22日、現場からおよそ400km離れた東京・奥多摩町で逮捕された男。一夜明けて、事件前後の足取りが分かってきました。（8月23日OA「サタデーステーション」） ■確保現場近く
　防カメに“男の姿” 逮捕されるおよそ20分前、大きな歩幅で体を揺らしながら歩道を進んでいく男。サタデーステーションが入手した防犯カメラの映像には、谷本将志容疑者（35）と見られる男が映っていました。 金髪混じりの特徴的な髪型。厳しい暑さの中、額の汗を拭うような仕草もみせていますが、人目を気にしているのか、白いマスクを外す素振りはありません。黒いバッグを肩から下げ、右手には白い買い物袋のようなものを持っています。黒いシャツに黒いズボン、白っぽい履物。これらは逃走中の男の服装情報と似ているようにも見えますが、捜査関係者によると、発生当日の谷本容疑者とみられる男の服装とは、全く違うと言います。 男が去った14分後には、猛スピードで対向車線にはみ出しながら走り去る車も映っていました。赤色灯を付けた警察車両とみられます。 さらに8分後、およそ800メートル離れた地点。 報告・田丸由樹ディレクター 「谷本容疑者は奥多摩にあるこちらの国道沿いで警察官に身柄を確保され、逮捕されたといいます」 22日、殺人の容疑で逮捕された谷本容疑者。神戸市のマンションで住民の片山恵さん（24）の胸などをナイフで複数回刺し、殺害した疑いがもたれています。 谷本将志容疑者（35）の供述 「殺意をもっていたかはわかりませんが、ナイフで腹部の辺りを1回か2回くらい刺したことに間違いありません」 ■逮捕の男
　職場で“リーダー的な存在” 東京で逮捕された谷本容疑者。事件が起きた”神戸との接点”が見えてきました。 谷本容疑者の親族 「元々は親戚・おばあちゃん・ひいおばあちゃんとか、みんなほとんどは神戸だから。お父さんは大阪だからそっちで大きくなっている。自信はすごくあったみたいに思う。自分に自信を持っているというか。仕事のことなんかも。職場では認めてもらっていた。言葉がない。本当に申し訳ないだけ」 谷本容疑者の経歴が、分かってきました。 報告・仁科健吾アナウンサー 「谷本容疑者は、神戸市内にある建設会社で10年ほど働いていたといいます。ただ、たびたび他の業界に興味を示し、辞めては戻ることを繰り返していたそうです」 当時を知る職場の関係者 「3回会社は辞めている。父親が体調悪くして施設に入り、その費用を払っていたのではないか。先に給料払ってもらえないか、というのは何度かあったので、プライベート大変だなと」 神戸の建設会社を辞めた後、関東に拠点を移します。 報告・手塚慶二朗ディレクター 「谷本容疑者は2年ほど前に東京都内の会社に入社。社長によると、いたってまじめな勤務態度だったという事です」 勤務していた会社の代表 「谷本に関してはすごくまじめです。無遅刻無欠勤、お客さまからの評判もものすごくよく、改善とか提案してくるような、リーダーになるような存在だった」 2年前、入社する際に提出された、谷本容疑者の直筆とみられる履歴書。それによると、大阪府内の中学校を卒業後、コンピューター関係の学校へ。その後、飲食関係、さきほどの神戸の建築関係の会社を経て、2年ほど前、関東へ来たそうです。 勤務していた会社の代表 「関西から関東に来た理由というと『昔やんちゃをしていて、悪い友達と縁を切るために関東に来た』と面接のときに伝えられた。これから真面目に働いてくれるのであれば、協力しようと思い採用に至りました。聞いた話によると、彼女とか女性関係は今までいないと思ってます」 ■事件当日
　容疑者は“夏季休暇”取得 2023年5月、東京都内の従業員40人ほどのドライバー業の会社に入社。新宿区にある社員寮に住み、手取りは30万円程。ただ今月になり、様子が変わります。 勤務していた会社の代表 「8月17日から21日まで夏休みを申請していて、休ませていました。新幹線の往復、「帰って来いよ」と言う気持ちで往復のチケットを買ってあげました。『新幹線代も高いので本当に助かります』と、感謝の気持ちで返信が来ましたね」 谷本容疑者は17日から21日まで夏季休暇をとっていました。事件が起きたのは20日。逮捕された22日は無断欠勤。正月休みにも、一週間ほど同じことがあったため、社長が連絡します。 勤務していた会社の代表が送ったメール 「お疲れ様です。どうしたのかな？これでは前回と同じだよ。（中略）けじめだけはきちんとつけてください。谷本君の今の行動は社会人として認められません。帰れない事情があるなら、連絡ください」 そして事件を知った社長が、再びメッセージを送ります。 勤務していた会社の代表が送ったメール 「ニュースを見ました。残念です」 勤務していた会社の代表 「谷本くんは世代的に私の息子と同じくらいの年齢の子だったので、会社でも面倒を一生懸命見てたつもりなんですが、裏切られたという気持ちでいっぱいですし、被害に遭われた片山さんに対しても、本当に申し訳ない」 ■事件直前
　被害者を10分以上尾行か 逮捕から一夜が明け、谷本容疑者の犯行前後の足取りも明らかになってきました。 報告・仁科健吾アナウンサー 「事件が起きた時刻と同じ時間帯になりまして、あたりは薄暗くなりました。谷本容疑者によく似た男が、事件より10分以上前から片山さんの後をつけていたことが新たにわかりました」 複数の防犯カメラに映っていた、尾行の様子。警察は谷本容疑者に土地勘があり、片山さんの帰宅途中から尾行を始めたとみています。そして20日午後7時20分ごろ、自宅マンションに帰ってきた片山さんの後をつけて、オートロックを突破、エレベーターの中で片山さんを襲い、階段を使って逃走しました。マンションを出ると北へと向かい、すぐ近くの駐車場には、刃渡り15センチのナイフを捨てたとみられます。そして… 報告・仁科健吾アナウンサー 「谷本容疑者は事件後、こちら新神戸駅で午後8時台の新幹線に乗って、東京方面に行ったとみられています」 谷本容疑者は、電車を使わずに、北におよそ2キロ離れた新神戸駅へ。新幹線で東京方面に向かったことが新たにわかりました。その後、1日半の間の足取りは、まだ明らかになっていません。しかし… 報告・田丸由樹ディレクター 「きのうの午前、谷本容疑者がこちら奥多摩駅で電車から降りたことがわかりました」 神戸市からおよそ400キロ離れた東京都奥多摩町。22日午前に、JR青梅線の終着駅でもある奥多摩駅に降り立ったことが、防犯カメラの捜査で判明しました。その後、サタデーステーションが入手した防犯カメラ映像には、谷本容疑者とみられる男が歩いて東へ向かう姿が映っていました。そして、22日午後4時すぎ、奥多摩駅からおよそ7キロ離れた場所で、歩いている谷本容疑者を警察が発見、逮捕に至りました。危険物、刃物などは持っていなかったといいます。 確保の瞬間を見た住民 「抑えていたのは4、5人だったと思う。『やめてほしい』みたいな雰囲気。暴れている感じはしました」 その後、東京から新幹線で新神戸駅まで移送された谷本容疑者。 報告・阿部志緒里記者 「今、谷本容疑者が警察に連れられていきました。捜査本部のある葺合警察署に向かいます」 ■遺族がコメント「ひとまず安堵」 今後の捜査の大きなポインは、谷本容疑者と殺害された片山さんとの接点です。片山さんはおととし4月、大手損害保険会社に入社し、神戸市内の支店で営業を担当。上司や同僚から信頼を得ていたといいます。 勤務先の広報 「明るく朗らかでコミュニケーション能力が高いと評判でした」 片山さんを知る人 「真面目なグループにいた感じ。真面目なイメージ」 小学校の同級生 「責任感がある感じの子で、班長とかもやっていたし、周りを引っ張ってくれる感じの子だった」 容疑者逮捕を受け、遺族がコメントを出しました。 片山さんの遺族のコメント 「ひとまず安堵しています。懸命な捜査に感謝いたします。家族一同、悲しみに暮れ、混乱した状態が続いていますが、せめて安らかに送り出したいとの思いでおります」 これまでに、片山さんが警察にトラブルなどを相談していた情報も確認されておらず、警察は2人の関係性について捜査を進めています。