“新世代クマ”人襲うワケ“過去最悪”クマ被害
社会|
10/09 19:09
過去最悪のペースで多発するクマ被害です。クマが人を追い掛けて後ろから襲う瞬間です。本来、人を恐れるはずのクマがなぜ人を襲うのか。専門家に聞きました。
■“新世代クマ”人襲うワケ
岩手県盛岡市で道路脇から突如現れたクマ。田んぼに実る稲をかき分け、クマは住宅が立ち並ぶ方向へ走り去ります。
各地で相次ぐクマの出没。被害も相次ぎます。
広報車
「コグマ1頭が徘徊(はいかい)しています。十分にご注意下さい」
9日午前。富山県立山町でもクマが出没し、辺りは一時騒然としました。
京都では自宅前で40代の男性がクマに襲われ、けがをしています。
今やこのクマの脅威に街中でも安心できないのが現状です。
秋田県大仙市では女性がクマに襲われる瞬間がカメラに捉えられていました。クマに突然襲われた女性は命に別条はなかったものの、目元には痛々しい傷が…。
被害女性
「右側から来て“あ”って思っているうちにガッてやられちゃって。“あっクマだ”と思ったらダーッと逃げて鉄道のほうに行った。クマはいない、このあたりはいないと思って歩いていたから。いや本当クマに自分がやられ…、皆言っているが、自分がやられるとは思わないから」
まさか自分が…、街中での突然の襲撃に戸惑いを隠せない女性。現場近くの小学校も対応に追われています。
中仙小学校
安部浩行教頭
「きのうの段階で保護者に朝の送迎、徒歩で来る児童については車で送ってほしいとお願いした。きょうは外遊びは控えるということと、1階の窓は開けっ放しのないように注意して過ごしている」
子どもたちは皆、クマ鈴を付けての下校です。
今回の襲撃を別の角度の映像で見てみると、画面左側に歩いていく女性。その数十メートル後ろの茂みに身を潜めているのがクマです。
あらかじめクマが女性に狙いを定めて追い掛けているようにも見えます。
その後、クマは前方の女性に一直線に飛び掛かっていきました。
この異常とも取れるクマの行動に専門家は…。
岩手大学
農学部
山内貴義准教授
「クマの一部の個体だが、行動がかなり大胆になっているのは間違いない」
女性が襲われた映像からこう推測します。
山内貴義准教授
「個体自体はそれほど大きくない。恐らく親から離れたばかりの個体。去年生まれで親から離れて、これから一人で暮らしていかなくちゃいけない、一人で冬眠しなくちゃいけない、そういったタイプのクマ」
8日、女性を襲ったクマは体長およそ80センチ。このような親離れクマが今年の餌(えさ)不足により人里に下りてきている可能性を指摘します。
本来人を恐れるはずのクマがなぜ執拗(しつよう)に女性の後をつけていたのでしょうか。専門家はここにもクマの親離れの影響があるといいます。
山内貴義准教授
「餌を求めて集落周辺をウロウロして、街中まで迷い込んだのでは。目の前に女性が歩いていてかなりパニック状態になっていたのでは。一気に襲いに掛かっている、パニック状態で目の前にいる人をとにかく排除しようという感じで襲い掛かったのでは」
■人気観光地にも目撃情報が
これから本番を迎える秋の行楽シーズン、対策はあるのでしょうか。
人をも恐れぬクマの影響は人気観光地にも。日光市では湖上に打ち上がる無数の花火が人気の花火大会が中止に。
葉も赤く染まりだし、間もなく見ごろを迎えそうな紅葉。奥日光の中心エリアから40分ほど走った足尾町で9日、クマの目撃情報がありました。
9日も人気観光地にはクマの影はつきまといます。
観光客
「怖いです。この前、スペインの人が白川郷で襲われたって」
「本当は戦場ヶ原に入ってみようと思ったけど、クマ怖いので入らない。クマ鈴で人間がいるって知らしめるために付けている」
■危険“親離れクマ”対策は?
場所問わず出没するクマに専門家も警鐘を鳴らします。
山内貴義准教授
「相当餌が山にない状態で、冬眠するために脂肪を蓄える必要があるので、今、焦って餌を探しているのかなと」
万が一遭遇してしまった場合は、とにかく頭部や腹部の急所を守り、クマを必要以上に刺激しないことが重要だといいます。
山内貴義准教授
「いわゆる地震・台風、災害と同じ扱いをした方がいい。災害もいつやってくるか分からないので備えと知識を蓄えておくのが必要」