大江健三郎の未発表2作品を発見 現存最古作などデビュー前後に執筆か 東京大学
社会|
03/03 01:00
ノーベル賞作家の大江健三郎さんが東京大学在学中に執筆したとされる未発表の小説2作品が見つかりました。
大江健三郎さんは東京大学在学中に「飼育」で芥川賞を受賞し、1994年には日本人として2人目となるノーベル文学賞を受賞しました。
戦後民主主義世代の旗手として社会への警鐘を鳴らし続け、2023年3月に老衰のため88歳で亡くなりました。
今回見つかった小説は1955年5月に書かれた「暗い部屋からの旅行」と、1957年5月に書かれた「旅への試み」の2作品です。
東京大学によりますと、去年11月、「自宅に大江氏名義の原稿があるので確認してほしい」という問い合わせを受け、筆跡を遺族に見てもらうなどして本人による作品であると確認したとしています。
問い合わせた方の祖母は東京都北区で下宿を営んでいて、そこに在学中の大江氏が住んでいたということです。
「暗い部屋からの旅行」は三部構成の短編小説で、大江作品では珍しく恋愛の要素が強く打ち出されている作品です。
また、「旅への試み」は足が不自由な少年を主人公とした短編小説で、原稿には加筆・修正のあとがほとんど見られなかったということです。
いずれも東京大学在学中に執筆された同時期の作品の下書きと想定され、「暗い部屋からの旅行」は現存する小説としては最も古い作品だということです。
東京大学文学部では2023年9月に「大江健三郎文庫」を開設し、デジタル化した約1万9000枚の自筆原稿などを研究者向けに公開しています。
文庫運営委員長の阿部賢一教授は「全く知られていなかった作品ということで、これから研究などが始まることになるが、一読者としてプレゼントのような作品を天から授かった」と発見の喜びを語りました。
見つかった2作品は今月6日から「大江健三郎文庫」で研究者を対象に公開するほか、「群像」の4月号に掲載される予定です。
画像:東京大学文学部大江健三郎文庫
(C)大江健三郎著作権継承者





