
認めない理由〜人質司法が奪った1270日〜
2026年5月28日(木)午後2:50~放送
番組概要
無罪の母は、なぜ自由を奪われなければならなかったのだろうか。
2022年、1人の女性が逮捕された。
疑われたのは「虐待」。
逮捕容疑は生後11カ月の娘の頭になんらかの暴行を加え死亡させたとする傷害致死だった。
逮捕され、裁判が始まる3カ月前の「3年5カ月」、彼女は身柄を拘束され続けた。
2026年3月、福岡地方裁判所は彼女に無罪判決を言い渡した。
「3年5カ月」の間、弁護団は8度にわたり保釈を請求したが、裁判所は保釈を認めなかった。
無罪を主張すると、長期間身柄を拘束され続ける保釈・勾留の運用は、「人質司法」と呼ばれている。
彼女が奪われた家族との日常から、いまの司法制度の在り方を問う。
3年5カ月ぶりに抱きしめた我が子
福岡県内に住む、松本亜里沙さん。
2025年8月、釈放されたその日、3年5カ月ぶりに長男を抱きしめた。
逮捕時、3歳だった長男は小学生になっていた。
亜里沙さんは卒園式も、入学式も見守ることはできなかった。
幼い息子、そして家族と引き離された時間は、二度と戻ることはない。
「人質司法」の犠牲となったもう一つの命
大川原化工機で顧問を務めていた相嶋静夫さん。
2020年3月、生物兵器に転用可能な装置を無許可で輸出したとして逮捕された。
しかし、初公判を前に検察が起訴を取りさげ、後に違法な捜査だったと認定された。
勾留中に胃がんが見つかった相嶋さん。
外部の専門医の治療を願い出たが叶わず、7度にわたる保釈申請はすべて却下された。
勾留執行停止が認められたときには、がんは手の施しようがないほど進行していた。
その後、被告人という立場のまま命を落とした。
「事故」か「虐待」か?
笑乃ちゃんの死をめぐる裁判では、「虐待か」「事故か」をめぐり、11人の専門家が証言台に立ち真っ向から対立した。
検察側は「育児のストレスによる暴行」を主張し、弁護側は「てんかん発作により、落下または一緒に転倒した事故の可能性がある」と主張した。
無罪判決。それでも、失われた時間は戻らない
逮捕から4年が経過した2026年3月3日。
裁判長
「主文、被告人は無罪」
「間違いなく被告人が被害者に故意に暴行を加えたということはできない」
福岡地方裁判所の鈴嶋晋一裁判長は無罪判決を言い渡した。
検察が期日までに控訴せず、無罪は確定。 亜里沙さんのもとに家族との日常が少しずつ戻り始めている。
しかし、KBCは警察と裁判所、裁判官に長期の身体拘束の正当性を問う質問状を送ったものの、核心をつく回答は得られなかった。
罪が確定する前にもかかわらず、身柄を拘束し続ける意味とは何なのか。
現在の司法制度のあり方が問われている。