「灯籠師の技巧」(熊本県山鹿市)
放送内容
2025年04月13日
金灯籠を頭にのせ、浴衣姿の女性が優美に舞い踊る、熊本県山鹿市の夏の風物詩「山鹿灯籠まつり」。
その金灯籠は「灯籠師」と呼ばれる職人が木や釘を使わず、手すき和紙と糊だけで作る紙細工の伝統工芸品だ。
100年以上山鹿灯籠作りに携わってきた「山鹿灯籠の店なかしま」、その四代目中島弘敬さんは、家業を継ぐため29歳から父の教えを受け、この道20年になる。
内部を空洞化した柱や垂木などの各パーツはすべて紙で、手作業で精巧に表現し組み上げていく。
中でも「擬宝珠(ぎほうしゅ)」と呼ばれる灯籠の頂点にあるパーツは職人の腕が出る部分だ。
六面に切り取った紙に竹ヘラを押し当て、曲線を表現した後に糊づけしていくのだが、そこに「のりしろ」は一切なく、紙の厚さ0.2ミリの断面に糊づけを行う。
紙を切る際は、断面を少しでも広くするため、微妙に斜めに切るなど、常に繊細な作業が求められる。
「金灯籠」のほかに、神殿造り、座敷造り、城造りなど様々な様式がある山鹿灯籠。
すべて手作業なので、同じものを同じクオリティで作るのが大変だが、紙という素材でいろいろなものを表現できることに、やりがいや魅力を感じているという。
そんな中島さんが未来に残したい風景は「菊池川」。
阿蘇山系を源流とし、有明海へ注ぐ一級河川で、山鹿市民に広く親しまれている。
河川敷では散歩やジョギング、暇があれば川辺で釣りも楽しむという中島さん。
河川敷に咲き誇る、桜や菜の花が見ごろで、春のすがすがしい景色に心が癒やされるそうだ。
の動画一覧