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なぜ?コメの高騰が続く背景に“直接取引”か

経済

05/21 20:07

■新米すでに売り切れ
 なぜコメの高騰は今も続いているのでしょうか。田植えが始まったコメ農家を取材すると、高止まりの背景が見えてきました。
 群馬県みなかみ町で「コシヒカリ」や「にじのきらめき」などを育てるコメ農家の本多義光さん(73)です。
 2025年産のコメの収穫見込みは約100トン。田植えが始まったばかりなのに、秋にとれる新米の買い手が早くも殺到して「売り切れ寸前」だといいます。 コメ農家
 本多義光さん 「旅館、飲食店、一般の家庭も20~30軒ある。新たに予約したい人も結構いる。売り切れ状態に近い」
 
 JAを通さない「直接取引」が急増しているといいます。自身の名前を冠したブランド米は以前から高い評価を得ています。
 ただ、5月の時点でほぼ売り切れになるのは長い経験で初めてだと驚きを隠せません。 本多さん 「新しい旅館も2軒、話がきている。サービスエリアでも私のコメを売りたいという話がきている。今年は特別」
 
 今年の新米の販売価格は、どのくらいになるのでしょうか。 本多さん 「5キロで4000円前後。肥料、燃料費、電気代、人件費が上がっているので」
 コメを作るコストが軒並み高騰し、2割ほどの値上げを決めました。それでも「直接取引」を持ち掛けてくる業者が後を絶たないといいます。 本多さん 「『農協よりも高く買います』という業者が『高いからぜひこちらに回して下さい』と私の知り合いの業者がそう言っている」 ■コメの直接取引
 なぜ急増?
 農家から消費者へコメが届くまでには通常、JAなどの集荷業者を通して卸売業者に渡ります。今、増えているのは、農家がJA以外の業者と直接取引するケースです。
 農水省の調べでは、集荷業者と卸売業者の取引価格は玄米60キロあたり、2万4597円です。
 一方、「直接取引」では4万5000円から5万円と約2倍の取引額になっています。「直接取引」の価格がつり上がっている現状について日本一のコメどころ、新潟県の農家は。 コメ農家
 石井知治さん(41) 「卸売り段階では提示額への選択権を農家が持っている状況。いくらでも値が通る状況。これまでのスタンダードな価格帯と現在の(高い)価格の乖離(かいり)が大きい。農家が2万円に2割乗せて2万4000円だと言っても『それは安い』と感じる上がり方をしている」
 
 例年、5月から新米の収穫が始まる沖縄では、早場米の争奪戦が起きています。 沖縄県のコメ農家
 山田義哲さん(71) 「東京のほうからの注文でも去年の3倍以上。『もうひっ迫しているから、5月6月には完全になくなってしまう。どうにかしてくれ』と。とんでもない。追いつかない」
 農家からは備蓄米の入札制度に対して疑問の声が。 コメ農家
 本多義光さん 「今、政府の備蓄米を出したでしょう。でも(競争)入札にしたでしょう。入札だと高い値段を付けたJAがほとんど押さえて」
 備蓄米の3回目の入札ではおよそ97%をJA全農が落札しています。
 石破総理は21日、小泉進次郎農水大臣に備蓄米の契約について見直しを指示したことを明かしました。 石破茂総理大臣 「随意契約を活用した備蓄米の売り渡しを検討することを指示した」
 随意契約とは国側が任意に受注者を選んで契約を結ぶことです。
 コメ政策の専門家によりますと、競争入札ではなく、随意契約にすることによって備蓄米の店頭価格が今よりも大幅に安くなることが期待できるといいます。

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