備蓄米「随意契約」ってなに? 新ルールで価格下がる? 3000円台の可能性も
経済|
05/22 20:14
コメの価格は3000円台前半になるとの見方も。備蓄米の放出を巡る新ルールを検討です。
■備蓄米で2つの“ルール”
小泉進次郎新農水大臣(44)、新たな方針を打ち出しています。
小泉進次郎新農水大臣
「(Q.きょうから本格始動かと思いますが何から着手を?)きのうから本格始動しています。随意契約にする方針を示して需要があれば(備蓄米を)無制限に出す。全力で頑張りたいと思います」
小泉大臣の背中に託された、コメ政策の改革。
いまだコメの高騰が続くなか、政府は消費者に安定した価格でコメを供給するための対策として、備蓄米放出の新たなルールを打ち出します。
その1つが契約の方法。「競争入札」から「随意契約」に変更する方針です。
小泉進次郎新農水大臣
「新たな取り組みをしなければならないということで、今までの入札方法を抜本的に変え、随意契約というかたちでこれから詳細はつめていくが、しっかりとコメの価格が下がるという方向性に向けた第一歩を示していきたい」
■備蓄米
3000円台前半になる?
備蓄米の「随意契約」によって、コメの価格はどれほど下がるのでしょうか。
政府備蓄米の放出について、これまで行われてきたのが「競争入札」です。
その仕組みは、入札に参加する業者のなかで最も高い価格を提示したところに備蓄米が売り渡されます。
ただ、競争によって備蓄米の価格が上がることで市場のコメの価格が高止まりしていることにつながっていると、農家などからは見直しを求める声が上がっていました。
コメ農家
本多義光さん(73)
「入札だと高い値段を付けたJAがほとんど押さえて、どうせ出すんだったら備蓄米の経費がいくらかかっているから1俵いくらですよと、入札よりそういう方式で出してほしい」
例えば、3回目の入札で放出された2023年産米の場合、政府の買い入れ額は60キロあたりの平均が1万2829円でした。
ただ、放出する際の競争入札では集荷業者に2万1926円で売り渡されています。つまり、9000円ほど金額が上乗せされています。
林芳正官房長官
「一般競争入札の場合、高い入札価格を示したものから落札する、小売店での早期販売につながらないのではという指摘や価格を落ち着かせる効果が少ないのではという指摘があると承知をしている」
■備蓄米「随意契約」ってなに
備蓄米放出の新たなルールとして、政府が検討しているのが「随意契約」です。
競争入札とは違い、随意契約の場合には国が任意に受注者を選んで契約を結びます。
随意契約に変えることで、どのような効果が期待されるのでしょうか。コメ政策に詳しい専門家は…。
日本総合研究所
チーフスペシャリスト
三輪泰史氏
「最初から値段を決めて備蓄米を渡すことができるので、スーパーマーケットに並ぶ備蓄米の値段を大きく下げることができると期待。随意契約の場合、相手方と個別の契約を結ぶので色々な条件を農林水産省から付けることが可能。最終的な小売りの価格がいくらを超えないように、もしくは経費として何%以上、乗せないようにと縛ることができる」
これまで備蓄米はJAなどの集荷業者が落札した後、卸売業者を経てスーパーなどの小売店に渡っていました。
随意契約で備蓄米を売り渡す場合は、その対象を集荷業者に限らず、卸売業者や小売店にまで広げるのでしょうか。
小泉進次郎新農水大臣
「これは幅広く募りたい。今、全農を含めてかなり集中しているなかだが現場になかなか届いていない。様々なプレイヤーがいるから、私は川下の皆さん、スーパー、外食も含めて幅広く随意契約によって現場に届けていけたらと考えている」
スーパーなどの小売店や外食業界も含めて、随意契約の対象になり得ることについて専門家は。
日本総合研究所
チーフスペシャリスト
三輪泰史氏
「まずはできるだけ消費者に近いところに備蓄米を投入していく。そのなかでいくと小売り、外食に直接出すことができれば非常に条件としては良い。一方で課題としては、スーパーマーケットの多くは自社では精米設備を持っていないので、近隣の精米工場など一定規模の精米所と組んで随意契約をする必要がある」
現在、備蓄米はスーパーの店頭でいくらで売られているのでしょうか。
コメ売り場に大量の備蓄米を並べるスーパー。JAグループとして、全国で約550店舗を展開する「Aコープ」です。
売り場に収まらないほどの備蓄米を開店前に準備します。JA福井県が落札した備蓄米「ハナエチゼン」です。5キロの価格は税込みで3434円です。
Aコープ
やしろ店
山上剛副店長
「当店では備蓄米を取り扱いしてから値段は最初から3434円。少しでも消費者に安く届けたいという思いで取り扱っている」
3000円台で買えるとあって、60袋並べた備蓄米は1日で売り切れるといいます。初めて備蓄米を買ったという70代の男性は…。
備蓄米を購入した人
「ずっと『いちほまれ』を買っていたが、まだ(価格が)下がらないから、とりあえず応急手当て」
「今までコシヒカリを食べていた。でも、もう経費削減」
「昔ほどは安くならないと思うけど、もうちょっと(コメの価格が)下がってほしい」
■備蓄米「無期限放出」効果は
22日、江藤前大臣から業務を引き継いだ小泉農水大臣。今後、放出する備蓄米の量についても、言及しています。
「仮に需要があった場合は無制限に出す。そういったことも含めて、今までとは違う大胆な手が私は必要だと思っている」
コメの価格はどこまで下げられるのか、具体的な価格帯について石破総理大臣は。
「コメの商品特性によく着目しながらコメは3000円台でなければならないと思っている。4000円台などということはあってはならない」
全国のスーパーでのコメの平均価格は4268円と最高値を更新するなか、3000円台に戻すことを目指します。
都内のスーパーの店長が望む、コメの価格は。
スーパーイズミ
五味衛店長
「(5キロ)3000円くらいで売れるようになること、良いコメが3000円、下がもうちょっとあるようなかたち。総理大臣が言うくらいだから、ぜひそういうふうにしてもらいたい」
まずは、備蓄米の価格が下がることが重要だと専門家は指摘します。
日本総合研究所
チーフスペシャリスト
三輪泰史氏
「備蓄米を随意契約で安く流すことができるようになると、産地でのコメの取り合いが少し沈静化することが期待されている。これから出てくる備蓄米は古米から古古米とどんどん古くなっていく。第一弾で3200円から3300円で備蓄米が並ぶ状況になると、今の状況が改善されていく兆しが見えてくる」