英パブ「週に6軒ペースで閉業」 19世紀から続くパブも突然廃業に
国際|
04/02 15:58
物価の高騰などを背景にイギリスではパブの閉業が相次いでいます。ロンドンの住宅地で19世紀から続いたパブも歴史に幕を閉じました。
2月、ロンドンの住宅街「スイスコテージ」にある老舗のパブが突然、閉業しました。
スイス風のコテージのような象徴的な建物から、地名や駅名のスイスコテージの由来にもなっていました。
近くに住むアラン・セルウィンさん
「驚きとショック。信じられない気持ち。この地域には多くのパブがあったがどんどん減っている。社会インフラの損失だ」
このパブは少なくとも1830年代から営業していましたが、常連客によりますと、店員は経営難を嘆いていたそうです。
地元住民は地域の象徴としてパブの復活や建物の保存に向け署名活動などを行っています。
イギリスのパブはビンゴやカラオケ大会が開かれるなど、市民の憩いの場でもあります。しかし、去年1年間で、イングランドとウェールズでは、週に約6軒のペースとなる289軒のパブが閉業しました。
パブの数は、この5年間で2200軒以上減少しているということです。
パブ店員
リアム・ジョプリンさん
「すべてのパブが危機に陥っている。どんなパブでも潰れる恐れがある。(価格高騰で)パブに不満を持つ人もいるが、多くのコストがかかることを分かっていない」
光熱費や人件費などの高騰で、こちらのパブでは3月末からビール1杯20ペンス、約40円値上げして6.4ポンド、約1240円となりました。5年ほど前の倍の価格です。
客
「パブの価格は法外でパブに来るのがとても難しくなっている。(値上げは)さらなるパブの閉業につながり、長期的には地域社会の分断を深め社会不安を招くだけだ」
ビール・パブ協会はパブで提供されるビールの全国平均の価格が4月、初めて1杯5ポンド、日本円で970円を超えたと危機感を示しています。