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コメ高騰でタイ米が人気 企業の戦略は…

国際

05/11 15:41


 コメの価格高騰が続くなか、外国産のコメへの注目が高まっています。東京都内で開催中のイベントに“タイ米”を持ち込んだタイの企業は、日本に向けたある戦略を立てていました。
 この週末、東京都内で開かれている国内最大級の国際イベント「タイフェスティバル」。
 タイの食や文化などを楽しもうと、例年およそ30万人が会場を訪れます。
 多くの人が集まるのは、コメを生産・輸出するタイの企業「ワンナポップ」のブースです。
 2023年からはフェスティバルのスポンサーにもなっています。 タイ米を購入した人 「たまたま今、目にしてこれなら安いのかなと思って」 「日本のコメは高いので、今は買ってないですね」
 店頭に立って商品をアピールしているこの人、実は「ワンナポップ」のCEO、タンヤワン氏です。 「ワンナポップ」
 タンヤワンCEO 「(2日間で)およそ1000キロのおコメ持ってきました。これらすべてが必ず完売すると思っています。このイベントが日本人がタイ米を購入し始める1つのきっかけになると思います」
 ワンナポップはこのフェスティバルをきっかけに、より多くの日本人にタイ米に興味をもってもらおうと、準備を進めてきました。 タンヤワンCEO 「コメは砂糖などを加えて改良することはできません。ただ、同じコメでも土壌や栽培条件によって違う味になることがあります」
 日本向けに甘くて柔らかいコメを準備するのにはこんな背景もあります。 店員 「おコメの方はこれから配ります。皆さま、ごゆっくり前の方にお進み下さい」
 記録的な冷夏と相次ぐ台風の襲来によりコメが不作となった1993年。
 翌年にかけて全国的にコメが不足し、店の前にはコメを求める人の長蛇の列ができました。
 政府は、中国やタイなどからコメを緊急輸入しましたが…。 試食した人 「タイに関しては見た目も食べても全く粘り気もないし、ちょっとくさいというか、日本人の嗜好(しこう)には全くいただけないと思います」
 日本のコメとは異なるタイ米特有の味や食感が日本人には受け入れられず、売れ残りが相次ぎました。
 30年以上が経った今、ワンナポップのCEOは、日本でタイ米が売れると自信を持っています。 タンヤワンCEO 「日本の消費者の反応は大変良好です。その一因は、タイ料理を食べる日本人が増えていることです」
 タイのドラマや音楽など、エンターテインメントの人気が高まるなかで、去年1年間の日本からタイへの渡航者数は100万人を突破。
 日本国内でもタイ料理店が増えていて、日本人にとってタイの食が身近なものになっています。さらに。 タンヤワンCEO 「日本ではコメが不足し、1家族あたりの購入量が制限されることもあります。これが、日本人が初めてタイ米の味を知るチャンスにつながりました」
 農林水産省が7日に発表したスーパーのコメの平均価格は5キロあたり4233円で、17週連続で値上がりし、去年の同じ時期と比べると2倍以上、高い状態が続いています。 タンヤワンCEO 「(日本への)販売量は大幅に増加しています。去年は(年間)およそ250トンを輸出しましたが、今年(1月から4月)は3倍以上の800トンに増えました」
 パッケージにも工夫を凝らしました。
 主食である日本米はコメびつで保管されることが多いのに対して、嗜好品として捉えられるタイ米は棚などに入れられることを想定し、チャック付きの袋を採用したというのです。
 念入りに準備をして迎えたフェスティバル当日。日本の消費者の反応は…。 タイ米を購入した人 「おコメがすごくいい匂いなので」 「(試食して)おいしかったです。なので買ったんです、おいしいなと思って」 「食べやすかったです」
 ただ、コメを購入する際に日本人のおよそ8割が国産米であることを重視しているという調査結果もあります。
 タンヤワン氏には、もう1つ秘策がありました。
 日本の消費者にも人気のもち米をデザートなどの甘い料理などと合わせる新しい食べ方を提案したいと、準備していたのです。 来場者 「マンゴーともち米。(最初は)ちょっとびっくりしました。日本もおはぎとか甘いものとして食べるので、そんな感覚でみたらそんなに変な感じではない」 タンヤワンCEO 「きょうは大盛況でした、思った以上でした。きょうは半分くらいが目標でしたが、もう半分以上、売れている状態です」
 ワンナポップは今後さらに日本でタイ米の市場を拡大していきたいとしています。

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