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【スイスで米中貿易協議】トランプ氏投稿“大きな進展”緊張緩和と関税引き下げは?

国際

05/11 22:35

米中両国の高官級による通商協議が5月10日、スイス・ジュネーブで始まった。協議は11日までの2日間にわたり、スイス国連代表部大使公邸で行われた。初日の協議は10時間以上に及んだが、交渉を終えた両代表団は会場を後にする際、記者団の問いかけに一切応じなかった。詳細については依然として明らかにされていない。初日の協議終了後、トランプ大統領は10日、自身のSNSで、「本日スイスで中国との非常に良い会談が行われた。多くの点について議論し、多くの点で合意に至った」と、友好的でありながら建設的な方法で全面的な見直しが行われたことを評価したうえで、「中国と米国双方の利益のために中国が米国企業に門戸を開くことを期待している。大きな進展があった」と期待感を示した。 同協議には、米国からベッセント財務長官と米通商代表部(USTR)のグリア代表、中国からは何立峰副首相が出席した。今回の協議は、長期にわたり膠着状態にあった米中の関税対立の打開に向けた初の本格的な対話と位置付けられており、注目の焦点は、関税の一時停止または段階的な引き下げの可能性に集まった。また、米国内で深刻な社会問題となっている合成麻薬「フェンタニル」の拡散を受け、米国側は中国に対し、撲滅に向けた取り締まりの強化と情報共有の一層の協力を求めている。協議には中国側から王小洪公安相が派遣され、米側の対中要望に直接対応する姿勢が示された。このほか、米国製品及び農産物の中国市場への再参入、知的財産権の保護強化といった懸案事項も含まれ、広範な経済分野にわたる議論が交わされた。協議の前日、トランプ大統領は自身のSNSに「対中関税の80%は妥当に思える。スコット・ベッセント次第だ」と投稿した。 何立峰副首相が、米中通商協議の中国代表として、米側高官との直接対話に臨んだ。1955年、広東省興寧で生まれた何氏は、福建省の厦門大学で財政学を専攻。福建省厦門市で副市長を務めていた習氏の下で働いた経歴を持ち、習氏の厚い信頼を受けているとされる。2017年から2023年にかけては、経済・社会の発展に関する政策研究、立案等を担う国家発展改革委員会の主任を務めた。2023年に副首相に昇格して以降は、特に経済、金融問題を統括している。 米中間の通商協議を巡り、どちらが先に歩み寄りの姿勢を示したのかについて、両国の主張が真っ向から対立した。トランプ氏は4月23日、「米中当局者は毎日、貿易協議に取り組んでいる」と述べ、両国間の関税を巡る交渉が進展しているとの認識を示した。これに対し、中国外務省は「それはフェイクニュースだ」と断言し、全面的に否定した。さらに、トランプ氏は25日、米誌「TIME」のインタビューで、「習近平国家主席から電話があった」と主張した。28日には中国側が再び強く反論。中国側は、「中国と米国は関税問題に関する協議や交渉を行われていない」と述べ、米側の発言を明確に否定した。スイスでの米中協議が開催されることが発表された5月7日には、中国外務省の林剣報道官が会見で、「米国側は最近、繰り返し中国との交渉を望む意向を示しており、今回の会談は米国側の要請で行うものだ」と述べ、米国主導であることを強調した。 米国と英国の両政府は5月8日、2国間の貿易協定を締結することに合意したと発表した。協定には、農産物や製造品に対する関税の緩和が盛り込まれた。トランプ大統領は、「この協定で、米国の輸出品は数十億ドルに拡大する。特に農業分野では、米国産の牛肉やエタノールなど、優れた米国農家の製品のアクセスが劇的に拡大する」と意義を強調した。今回の協定により、英国政府は米国製品に対して課していた平均5.1%の関税を1.8%に引き下げる。また、米国は英国製自動車に対する関税を、現行の27.5%から10%に引き下げる措置を導入した。ただし、この自動車関税の緩和措置には、年間10万台を上限とする数量制限が設けられた。鉄鋼およびアルミニウム製品に課していた25%の追加関税は、撤廃する方針とされている。一方、欧州連合(EU)の欧州委員会は5月8日、トランプ政権が課す関税に対抗するため、最大950億ユーロ(約15.5兆円)相当の米国輸入品を対象とした報復措置を提案した。対象品は米国産のワイン、バーボンなど蒸留酒、水産物、航空機、自動車や部品、化学製品、電気機器、健康製品、機械などがあげられている。 ★ゲスト:柯隆(東京財団政策研究所主席研究員)、峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)

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