【クモの巣作戦】「歴史的戦果」の裏でウクライナとロシアに“両国制裁論”和平糸口は
国際|
06/08 22:00
トランプ大統領とロシアのプーチン大統領による電話会談が6月4日深夜、約1時間15分にわたり実施された。会談後、トランプ氏は「良い会話だったが、即座に平和に繋がるものではなかった」と語った。この会談でトランプ氏は、プーチン氏に対し、ウクライナとの戦闘の継続による被害と疲弊に言及、「あなたは戦い続けて、多くの苦痛に耐えなければならないかもしれない」と述べ、自制と停戦の可能性を探るよう促した。これに対しプーチン氏は、ウクライナ軍によるロシア空軍基地への攻撃に対し、強い怒りを表明。「対応しなければならない」との強硬な姿勢を崩さず、報復措置を示唆した。 ロシア空軍基地への攻撃とは、ウクライナ保安局(SBU)が6月1日にロシア国内の空軍基地5カ所に対して大規模な無人機(ドローン)攻撃を実施したと発表したものだ。SBUは、「クモの巣作戦」と名付けられた同時攻撃により、戦略爆撃機を含むロシア軍航空機40機以上を破壊または損傷させたとし、その被害額は約70億ドル(約1兆円)に上ると主張している。攻撃対象となったのは、ロシア国内の複数の空軍基地で、イルクーツク州のベラヤ空軍基地、リャザン州のジャギレボ空軍基地などが含まれる。ウクライナによるロシア空軍基地へのドローン攻撃に対し、ロシアが報復とみられる大規模軍事行動に踏み切った。ロシア国防省は7日未明、ウクライナ全土を標的とした攻撃を実施したと発表し、無人機400機以上とミサイル約40発を投入したとされる。この軍事行動により、少なくとも6人が死亡した。 トランプ氏は6月5日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐる情勢について、「両国に対して制裁を課す可能性がある」と述べた。これまでのロシアへの制裁方針とは異なるアプローチを示唆した。記者団から「停戦に応じないロシアに対して新たな経済制裁を科す可能性はあるのか」と問われたトランプ氏は、「タンゴは1人では踊れない」と述べ、ウクライナとロシアの双方に対する責任論を強調した。 ★ゲスト:ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト)、渡部悦和(元陸上自衛隊東部方面総監) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)