“関税15%”は交渉成功?利益激減メーカー城下町「25%に戻る可能性も…怖い」
国際|
07/27 23:30
25%から15%への引き下げで合意したトランプ関税、今回の15%の関税と、そのセットで盛り込まれた見返りが私たちの生活に与える影響について専門家とともに見ていきます。
■「“アメ車”に追い風」規制緩和に期待
15%に引き下げられたトランプ関税。見返りの一つは、“アメリカ車の規制緩和”です。
(キャルウイング
営業課
植野史祐竜さん)「こちらからダッチ、キャデラック、ジープ、ワゴニアなど…」
輸入車を専門に扱うこちらの販売店。70台以上の在庫のうち、約8割が「アメ車」だと言います。トランプ大統領が要求していた“アメリカ車の市場開放”。現在、日本は歩行者を想定した衝突試験を義務づける国際基準を取り入れていますが、アメリカはその義務がない独自の基準です。そのため、「アメ車」は改めて衝突試験をする必要があります。さらに…
(キャルウイング
営業課
植野史祐竜さん)「これがウインカーとしてオレンジに点灯しないといけないので、改善としてはこういった形で、オレンジに点灯するように…」
ウインカーの色の変更や、シートベルトの警告灯の設置。騒音や排ガスの試験も実施しなければなりません。
(キャルウイング
営業課
植野史祐竜さん)「試験は一番かかるものだとそれこそ300万円以上かかるような車も存在します。」
それが今回の合意で…
(赤沢亮正
経済再生担当大臣)「安全な米国メーカー製の乗用車を追加試験なく受け入れることで合意しました。」
(キャルウイング
営業課
植野史祐竜さん)「試験がなければないだけで、安価な金額でご案内ができる。アメ車業界としてはとても追い風になるような形とは考えている」
■「97.5%減益」従業員から不安の声
一方、日本からアメリカに輸出する自動車には、今年4月から、25%の追加関税が課されていて、その影響はすでに出始めています。
(三菱自動車
松岡健太郎
副社長)「関税影響は144億円になりました。どうやってカバーしていくかということを考えないといけない。」
三菱自動車は、今年4月から6月の純利益が、前の年の同じ時期の294億円から、97.5%減少し、約7億円になったと発表しました。
愛知県岡崎市にある、三菱自動車の工場。ここが海外に車を輸出する拠点となっています。従業員からは不安の声も…
(工場の従業員)「ちょっとこの先が心配ですね。どうやって立て直していくのかなというのは思います。また(関税)25%に戻る可能性もあるじゃないですか。怖いですね。」
(工場の従業員)「一生懸命働いていくというところですね。予算とか決算という話はあまり関係なく。」
トランプ関税の影響で、今後、他の自動車メーカーの決算でも厳しい数字が出てくる恐れがあります。
■「15%でも厳しい」部品メーカーの本音
(白金鍍金工業
笹野真矢
社長)「これは自動車のフロントグリルという部分になるんですけども、ここをきらびやかに見せるためにメッキをつけています。」
従業員数250人のメッキ加工会社。売り上げの85%を自動車関連の部品が占めると言います。
(白金鍍金工業
笹野真矢
社長)「トランプ関税の話があってから、お客さんからメッキの価格を下げてほしいという話がありまして、なかなか厳しい状況ではあるんですけれど、それに対応するために今、白金(鍍金工業)一丸となって、価格を安くする活動を進めているところになります。」
日米合意を受けて、自動車の関税は近く、15%に引き下げられる見通しですが、社長は依然として厳しい状況が続くと見ています。
(白金鍍金工業
笹野真矢
社長)「どこの生産メーカーを選ぶかはお客様の自由になりますので、基本的には一度決まったもの(値下げ価格)は、そのまま守らなければいけないのかなというところで考えております。関税が25%から15%というところで、かなり条件としては良くなったかとは思うんですけれど、もともとの2.5%という関税と比較すると、かなり高い関税であることには変わりないのでなかなか厳しい状況かなと思っております。」
7月27日『有働Times』より