“今季初寒波”襲来 燃料高が各地に打撃 対策は?
社会|
12/21 22:30
21日夜から、今季初の「寒波」が襲来し、22日以降は警報級の大雪となるおそれがあります。年末年始は“10年に一度”の寒さとなる予想もある中、「燃料高」が各地に追い打ちをかけています。(12月21日OAサタデーステーション)
■今季初寒波襲来
警報級大雪の恐れ
報告・仁科健吾アナウンサー
「陽が落ちて一段と冷え込んできました。時折、風も吹き始めています。そんな中でも皆さん、ホットワインなどを飲みながら、イルミネーションを楽しまれています」
クリスマス前、最後の週末。東京都内の神宮外苑で開催されているクリスマスマーケットには、およそ1万2千人が集まりました。
群馬からきた家族連れ
「芯まで冷え切っちゃっていて、本当に寒くて、けっこう厚着して3、4枚くらい着ている」
都内から来た人
「厚着しまくるしかない。着ていてもそれでも寒い」
報告・矢谷一樹ディレクター
「午後5時半過ぎの北海道旭川市です。屋根から2階の床下部分にかけて2m以上のつららが伸びています」
今季最低のマイナス14.8℃を記録した北海道旭川市。札幌市でも、川に段差がある場所で流れ落ちる水が凍りつき、「氷瀑」のような状態に。最低気温マイナス4.5℃を記録した長野県立科町では、湖が凍りついていました。21日は、一年で最も日が短い「冬至」。これからさらに、冬の厳しい寒さが本格化していきそうです、早速21日夜から、今シーズン初めての寒波が襲来し、22日から23日にかけて気温は急降下、日本海側を中心に大雪や吹雪となる見通しです。
報告・手塚慶二朗ディレクター
「夕方から雨が降っていましたが、今は大粒の雪に変わりました」
秋田県湯沢市では、午後7時ごろから大粒の雪が降り始めていました。関東甲信や北陸、東海では、22日夕方にかけて60センチの雪が降る予想で、その後、更に広い範囲で雪が増える予想です。国土交通省は大雪が予想される地域に対し、国道や高速道路が通行止めになる可能性があるとして、不要不急の外出を控えるよう呼びかけています。
■寒さと燃料高“Wパンチ”北海道のキッチンカー
真っ白に染まった北の大地を走り抜ける白い軽トラック。ここでは、寒さに加え、燃料の高騰とダブルパンチに見舞われていました。
キッチンカー「ベルフライズ」根本真之介さん
「ガソリン代はかなり響きますね。僕はキッチンカ―をやっていて、行く場所によっては本当に100~200キロ離れたところまで行く場合もありますし」
根本さんは、キッチンカーで北海道内を移動し、揚げたてのスナック「ロングポテト」を販売。トッピングも豊富で大人気商品だといいますが…
キッチンカー「ベルフライズ」根本真之介さん
「バターもそうですし、 それ以外にケチャップとかマヨネーズとかそういうものも上がっていますし、合計していくとバカにならない。燃料関係で言ったらガソリンとストーブの灯油」
ガソリン価格は、元売りへの補助金により本来の価格が抑えられてきましたが、補助金縮小により、小売価格は1リットルあたり5円程度上昇。来年1月以降も補助金が減額されるため、さらに5円程度の値上がりが予想されています。
キッチンカー「ベルフライズ」根本真之介さん
「燃料代上がっているんだったら あまり遠方にはいかないようにして、近場でとか、やっぱりそういうところで削っていくしかないのかな」
夏場は旭川や帯広など道内を広く移動して販売を行っていますが。冬場は江別市周辺のみ。移動時間は、5分以内だといいます。21日の江別市の最低気温は、今シーズン最も低いマイナス17.2℃。そんな中、熱々のポテトを提供しています。
■あえて整備せず上級者コースに
スキー場も燃料高対策
こちらは、22日大雪警報が出る可能性がある福島県会津高原。21日にオープンしたスキー場では、朝から多くのスキー客で賑わっていました。
会津高原南郷スキー場
星秀則
支配人
「予想以上に沢山のお客さんに来てもらってありがたい」
しかし、喜んでばかりはいられないのが現状です。オープン前日に、準備の様子を取材すると…
会津高原南郷スキー場
パトロール隊
渡部雄己副隊長
「今、圧雪車に給油しています。一日で(軽油が)多くて170リットルですね」
ゲレンデに積もった雪を滑りやすい状態に固める圧雪車。作業は広範囲に及び、大型車両ゆえに相当な量を消費するといいます。
会津高原南郷スキー場
パトロール隊
渡部雄己副隊長
「斜面を上るときは燃費悪くなる。雪が多い時ですと圧雪してもまた積もって踏まなきゃいけない。燃料くいますね」
支配人も燃料費の高騰に頭を悩ませています。
会津高原南郷スキー場
星秀則
支配人
「去年からですと50万から100万くらい増えると思います。かなりの痛手でございます」
年々経費が嵩むスキー場。今回の燃料費高騰は死活問題。燃料節約のためにこんな工夫も…
神奈川県からの常連客
「新雪のところはフワフワで気持ちいいと言うか、降りたてで気持ちいので、朝一は滑りやすいです」
燃料費がかかる圧雪車の稼働を減らすため、雪を固めない、上級者向けのコースを今シーズンから増設しました。さらに、隣接するホテルでは、露天風呂が冷めないようにボイラーを使いますが…
会津高原 星の郷ホテル
鈴木基生さん
「灯油を兼用して使っているんですけども、さらにチップの方を重点で燃やそうかと考えています」
価格の安い木材のチップに変更するなど対策を講じています。
■クリスマスケーキ“材料ほぼ高騰”
報告・仁科健吾アナウンサー
「店内はいい匂いで包まれています。クリスマスに向けたケーキ作りが佳境を迎えています」
東京都内の洋菓子店では一年で一番忙しいクリスマスを前に、店長が弱音を吐いていました。
パティスリーコリウール
森下令治さん
「クリスマスに自分の作ったケーキを家族と一緒に食べたい。うちは大晦日もお正月もやるのでそこぐらいは休んで…」
悩みのタネは、材料の高騰です。卵やチョコレートがこの1年でおよそ1.5倍に値上がりするなど、ケーキのほとんどの材料が高騰。その結果、今年のクリスマスケーキは5500円で販売することになりました。去年より5%の値上げです。月曜には一度店を閉め、クリスマスケーキを700個作る予定ですが…
パティスリーコリウール
森下令治さん
「今年は5%(値上げ)でいきましたけど、5%だけでは間に合わない」
蛍光灯を間引くなどの節約にも限界があり、今年から大胆な節約に着手しました。この店唯一の駐車場を6月に手放し、月2万5千円を節約しているといいます。
パティスリーコリウール
森下令治さん
「駐車場が無くなるとなると『あの店潰れるんじゃないかな』とか、マイナスな感じがするので、オープン当時からあるから続けようとは思ったんですけど、そんなこと言ってられない」
それでも懸念事項は減りません。イチゴ仕入れ値はまだ確定していないといいます。1週間前に2400個のイチゴを確保したものの、その値段は仕入れ当日まで変動するため、さらにクリスマスケーキの原価を圧迫する可能性もあるといいます。
パティスリーコリウール
森下令治さん
「子どもたちがケーキを見て喜んでもらうのが一番。クリスマスは年に1回なので、喜んでもらわないとケーキ屋をやっている意味がない」
懸念されるイチゴの値段も、寒波と燃料高のダブルパンチに見舞われ、高騰必至の状況です。
■暖房費500万超え“雪国イチゴ”値上げの苦悩
サタデーステーションが向かったのは秋田県羽後町。
報告・手塚慶二朗ディレクター
「あたり一面に雪が積もる中、イチゴ栽培の農業用ハウスが立ち並んでいます」
秋田県最大規模のイチゴ農家では21日、クリスマスケーキ用のイチゴなどの収穫が行われていました。21日のこのエリアの最低気温はマイナス1.5℃。なぜ、寒さに弱いイチゴをあえて雪国で育てているのでしょうか?
イチゴ農家「こまち野」高橋直宏
農場長
「秋田県ってやっぱり雪が多いので、冬に出かける場所が少ない。スキー場とかはあるんですけど、それ以外はなかなかないので、そういった時にハウスの中でできる観光農で特にイチゴ狩りに目をつけて始めた感じです」
しかし、農業用ハウスを温めるための灯油や重油の高騰が大きな負担となっています。おととしの燃料代は500万円、去年は550万円。そして今年は、ガソリン同様、つい2日前に灯油・重油などの補助金も縮小されたばかりで、さらなる高騰は避けられない状況です。
イチゴ農家「こまち野」高橋直宏
農場長
「夜の温度を1度下げたり、例年だったら4時半ぐらいまで暖房を焚いてるところを4時で止めたり、 ちょっとですけど節約になればと思ってやっています」
イチゴ1パックの値段は、500円から600円に値上げせざるを得なくなりました。さらに、このエリアでは21日夜からの寒波襲来の影響で、22日は警報級の大雪の恐れがあり、積雪が今季最大になる可能性もあります。さらに年末年始には強烈な寒気が南下し、「10年に一度」の低温や大雪になる可能性が高くなっています。
イチゴ農家「こまち野」高橋直宏
農場長
「2、3年前にも年末年始の大雪があって、積雪で実際に潰れたハウスを何棟も見たので、今年も警戒して臨まないといけない」
年が明けてからは毎年1万人が利用するイチゴ狩りのシーズンが始まりますが、去年の2000円から2200円に値上げする予定です。
イチゴ農家「こまち野」高橋直宏
農場長
「『お客様の笑顔を第一に』っていうのもありますし、地域貢献したい思いもあるので、なかなか心苦しいところはあったが、どうしても値上げしていかないと経営も厳しいところがあった」