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“能登の奇跡”震災の教訓を対策に 災害用井戸の活用広がる

社会

01/18 18:20


 阪神淡路大震災から30年が経ちました。過去の災害の教訓を首都直下地震などの対策に活かす新たな取り組みを取材しました。 ■災害用井戸
 活用広がる
 都内の住宅に完成した地下およそ10メートルから水をくみ上げる井戸。井戸の掘削や修理を行う業者によると、去年の問い合わせ件数は、例年のおよそ4倍に増えたといいます。
 高まる井戸の需要。背景にあるのは…。 井戸掘屋
 深沢勉社長 「(問い合わせは)ほとんど災害(用)。電話が鳴る件数は去年1月1日に地震があってから多い」
 今、“災害用井戸”に注目が集まっています。きっかけは、能登半島地震の影響で起きた断水です。当時、石川県を中心に最大およそ13万戸が断水し、衛生環境の維持などに深刻な影響を及ぼしました。
 ほとんどの病院が影響を受けるなか、2カ月間断水したものの、井戸の活用により通常と変わらない医療を継続できた病院がありました。
 石川県七尾市の「恵寿総合病院」です。 恵寿総合病院
 神野正博理事長 「私たちの井戸水は3カ月に一回、保健所に水質検査を依頼していた。なので普段からそのまま飲める。そして、手術室とか検査室では濾過(ろか)装置を付け、きれいな水を使っていた」
 治療には大量の清潔な水が必要ですが、こちらの病院では断水のなかでも妊婦の受け入れを行い、地震から10時間後に元気な女の子が産声を上げました。
 “能登の奇跡”とも称された病院。井戸水は建物内に行き渡っていて、トイレやシャワーなど普段と変わらないように蛇口をひねれば水が使えたといいます。 恵寿総合病院
 神野正博理事長 「井戸を確保できたというのは、私たちの病院の強靱(きょうじん)化にとっては必須だった」
 こうした教訓を受けて、井戸を活用する取り組みは首都直下地震が懸念される東京都でも進められています。
 品川区では断水時でも井戸水で流せるトイレを公園に導入するなど、避難所の衛生環境を維持する備えをしています。
 一方、民間でも災害時に一般家庭の井戸水を近隣住民に生活用水として提供する取り組みも…。
 西東京市に住む女性は去年、自宅に作った井戸を地域に役立てたいという思いで市の「災害用井戸」に登録する予定です。 自宅に井戸を設置
 菊池ゆかりさん 「能登半島の地震もあって、やっぱり井戸を作りたいと思って。災害の時も皆で協力し合える」
 井戸水は飲めるものと飲めないものがあり、東京都には、断水時にトイレなどの生活用水として使える災害用井戸が5900カ所登録されています。
 こうした自治体と住民が連携して井戸水を活用する取り組みを推進するため、去年8月には国の検討会が発足しました。
 座長を務める専門家は、今ある井戸を最大限活用できれば、首都直下地震などの大規模災害でも被害を減らせると指摘します。 大阪公立大学
 遠藤崇浩教授 「いざという時に井戸は役に立つことを皆さんに知っていただくのが一番。そういった新しい減災の可能性、政策の選択肢を考えていく必要があると思う」

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