山開き直前の富士山 変わる入山ルールに向け準備進む 外来植物侵入も課題に
社会|
06/28 22:30
間もなく山開きを迎える、富士山。今年から入山ルールが変わることを受け、様々な準備が進められる一方、近年、深刻化しているのが、「生態系をめぐる問題」です。富士山でいま、何が起きているのでしょうか?(6月28日サタデーステーションOA)
■山開きに向け準備進む富士山
荷上げに密着
サタデーステーションは7月の山開きを目前に控えた富士山へ。
報告・仁科健吾アナウンサー(正午頃・富士山吉田ルート5合目)
「きれいに頂上付近まで確認することができます。若干まだ雪が残っていますかね」
富士山でも青空が広がり、5合目は多くの人でにぎわっていました。なかには、こんな人も。
登山者
「8合目の山小屋でアルバイトをさせてもらうので2か月くらい住み込みで」
山開きに向けた作業は、早朝から始まっていました。
報告・仁科健吾(午前7時頃・富士山吉田ルート5合目)
「今まさに積み荷の積み込み作業が行われています」
マルタカ興業・渡辺隆徳社長
Qいまこれは何の作業中?
「山小屋さんの開山の支度の荷物」
28日は4台の車両で、5合目から7~8合目にかけて点在する11の山小屋に、燃料や食料などを運ぶのだといいます。この荷上げ作業に、同行させてもらいました。
報告・仁科健吾アナウンサー
「7合目が見えてきました。このあたりに来ると一気に体感気温が下がってきました。悪い道が続いています。でこぼこ道となっています」
5合目を出発して登ること、およそ1時間。ようやく8合目の山小屋に到着しました。積んできた荷物を、人の手で運んでいきます。
報告・仁科健吾アナウンサー(午前8時頃・富士山吉田ルート8合目)
「積み荷がどんどん降ろされていきます」
1日150人ほどが宿泊するという、こちらの山小屋。
白雲荘のスタッフ
「(開山準備は)もうラストスパートという感じ」
■変わるルール
富士山レンジャーが“入山拒否”も可能に
人気が高まっている富士山。ルール守らない登山者なども増えたことで、今年も大きくルールが変わります。これまでも安全指導の声掛けなどを行ってきた富士山レンジャー。今年3月に条例が変更され、軽装と判断した登山者に“入山を明確に拒否する権限”が与えられました。
報告・仁科健吾アナウンサー(正午頃・富士山吉田ルート5合目)
「今年からルールの変更を受けましてこちらのお店では登山ウェアなどのコーナーを新たに設置しました」
土産物を中心に売ってきたこちらの店では今年からウェアを取り扱うといいます。
五合園レストハウス・爲澤一郎さん
「装備品がレインウェアの上下セット、防寒着や登山シューズを必ず持たないといけないということで、(レンジャーに軽装で)注意された場合は、購買できるようにと。啓もう活動も兼ねて用意させてもらいました」
入山料はこれまでの1人2000円から4000円に値上げされます。
■身近な植物も…外来植物の侵入が課題
さらに、こんな新たな動きも。27日、5合目のゲート前で進められていたのはマットの設置。その目的は。
山梨県森林環境部・塩谷正裕課長補佐
「外来植物対策の一環としてすべての方にマットを踏んで頂いて、種子の除去にご協力頂きより一層富士山の保全に努めていきたい」
近年、富士山で問題になっているのが、外来植物の侵入です。
外来植物は北海道の大学でも。人の背丈をゆうに越える高さに咲く、白い花。欧米などで“世界で最も危険な植物”とも呼ばれている「バイカルハナウド」とみられる植物が発見されました。猛毒の樹液に触れたあとに日光を浴びると、激痛と共にやけどのような皮膚炎を発症します。
北大生
「慎重に切り取っているような感じで、しっかり防護して切っていました」
現在、花は刈り取られ、専門家が植物の特定作業を進めています。一方の富士山では。
NPO法人富士山クラブ・佐伯弘美さん
「オオバコもありますし、(セイヨウ)タンポポでしょ、ヨモギも」
本来5合目付近にはなかったという「タンポポ」や「ヨモギ」。これらも外来植物で、繁殖することで生態系に影響を及ぼす懸念があるといいます。
気になるのは、どのように富士山へ“侵入”したのか。
NPO法人富士山クラブ・佐伯弘美さん
「ふもとの方から車両に付着したり人の靴底や衣服に付着して種が持ち込まれてここで定着したのではないかと」
そのため富士山を訪れる車両に付着した泥を落とし、そこに含まれる種子を鑑定。どれくらいの外来植物が運ばれているか、今年5月から調査がはじまっています。
山梨県富士山科学研究所・安田泰輔主幹研究員
「(登山が)好きな方ですとほかの山に行ってからまた富士山に来られる方もいらっしゃると思うが、(種子がついている可能性がある)靴とかザックを1回キレイにして頂いて富士山を楽しんで頂くのがいいんじゃないかと」