超高エネルギー「宇宙線」の正体は「陽子」ではなく「原子核」か 千葉大が発表
社会|
07/11 21:20

千葉大学の研究グループは特に高いエネルギーを持つ「宇宙線」の主成分について、定説とされてきた「陽子」ではなく、より重い「原子核」であるとする研究成果を発表しました。
宇宙には宇宙線と呼ばれる高いエネルギーを持った粒子が飛び交っていて、中には桁外れに高いエネルギーを持ったものも存在します。
宇宙線の正体や成分はいまだはっきりと分かってはいませんが、これまでの定説では宇宙に多数ある原子核の構成要素の陽子が有力視されていました。
一方、宇宙線は直接観測できないため、研究機関などでは宇宙線が生成し、成分などに深く関係しているとされる「素粒子ニュートリノ」の量などを介して間接的に調べられています。
そのうち、世界最大の装置でニュートリノを検出する国際共同プロジェクトの「アイスキューブ」で、千葉大学のハドロン宇宙国際研究センターも参加しています。
今回、千葉大の研究グループはアイスキューブの13年分の観測データを解析した結果、宇宙線の主成分が定説通りの陽子であれば観測されるはずの高いエネルギーを持ったニュートリノの量が予測より大幅に少なかったということです。
これにより、低いエネルギーであっても矛盾がない原子核が宇宙線の主成分であることが示唆されました。
ニュートリノの研究では2002年に小柴昌俊さん、2015年には梶田隆章さんがノーベル物理学賞を受賞していて、アイスキューブも候補に挙がっています。
研究グループは宇宙線の組成を巡る40年以上の議論に終止符を打つような成果だとしています。
画像:Johannes
Werthebach,IceCube/NSF提供