「頭の骨が見える」相次いだクマ襲撃 わずか5時間で2人の被害…親子グマの出没も
社会|
07/06 23:30
6日朝、栃木県那須塩原市で、わずか5時間ほどの間に、別々の場所で男性2人がクマに襲われました。地元にお住まいの方はもちろんのこと、これからの夏の間、キャンプなどに出かける方もご注意ください。今年出没しているクマは人里に出てくるのを恐れないクマのようです。その理由とは。
■被害男性語るクマ襲撃の一部始終
栃木県の那須塩原市内で住民が1カ月ほど前に撮影した映像です。
撮影者の様子をじっと見つめるクマ。那須塩原市内ではこの1週間、クマの目撃情報が相次いでいます。
そして6日、複数の人がクマに襲われました。
(草薙和輝アナウンサー)「男性は今朝5時半頃、自宅の裏手にあるあちらの斜面で作業をしていたところ、クマに突然襲われました。そしてクマは斜面をかけあがり、別荘地の方へと逃げていったということです」
85歳の君島さんは今朝5時半ごろ、自宅の裏山で草刈りをしていたところ、突然、お尻をクマに咬まれたといいます。
(クマに咬まれた君島宏さん(85))「こういう体勢で仕事をしている。カマを持ってね。こっちばかり気にしてやっていたから、クマが来ているって全然わからなかった。これがあるとき、ここがワーッと痛かったなと思って、ぱっと見たらここにのしかかっていたから、そこで大声をあげたらぱっと離した」
大声を出すとクマが逃げたため、お尻以外の負傷はなかったといいます。
■「頭の骨が見える」相次いだクマ襲撃
午前5時30分ごろに出没した1メートルほどのクマ。さらに、5時間ほど後、北東に3~4キロ離れた場所でも人が襲われました。こちらは体長1.7メートルほどの子連れのクマです。
(小平和英カメラマン)「警察官、猟友会の方、いらっしゃいます」
Q.現場どの辺ですか?
「現場はこの上みたいです」
(警察官)「あー、あそこでしょ」
Q.でかい木がありますよね?
「でかい木のこっち側。オレンジのが動いているでしょ」
Q.あー見えた、見えた、あそこらへんで咬まれた?
「咬まれたっていう話だね」
(小平和英カメラマン)「いま猟友会の方々が銃を持って森へと入っていきました」
すると…
(小平和英カメラマン)「被害者のものと見られるベストが見つかりました。血がべっとりとついています」
警察によると、被害者は77歳の男性で動物の写真を撮影していたところ、体長1.7メートルほどの子連れのクマに襲われました。頭と手足に傷を負い、救急搬送されたといいます。
(被害にあった男性の妻)「(最初に説明受けたとき)頭は骨が見えています。足も骨が見えています。少ないところで10針、多いところで20針縫って、処置に4~5時間かかった。命があっただけめっけものかなって」
実は、この場所の近くで、先月27日、子連れのクマに襲われた男性がいました。
■クマの親子に遭遇
撃退の一部始終
(君島勲二さん(78))「現場はあの小屋の5メートルぐらい上がったところです」
78歳の君島さんは、この日、クマにお尻をかまれた男性のいとこです。
(君島勲二さん(78))「何か正面に黒いのが見えたなと思ったんだよ。その黒いのはクマだったんだよね。その親グマの先に子グマが2匹いたの。その子グマを守ろうとして親が気付いて私に突進したんですよ。木からおりて、それを何とかこれ(杖)を使って、自分も足が悪いので、逃げられないから、突進してきたらどうしようもないと思って、杖をだしたり、回したり、振り回したりして」
Q.結構住宅近いですよね?
(君島勲二さん(78))「近いですよ。そこも住宅になってるし。そこの山のすぐ向こうは学校だから。今まで本当に初めてです。まさかここにいるとは思わなかったから。私はこれ(杖)で何とか助かったと思ってる。クマパンチってすごいんだわね、そう感じましたね」
なぜ、クマによる被害が人里で相次いでいるのでしょうか?
■「小さい頃から“人慣れ”」繁殖期ピーク
なぜ、いまクマによる被害が相次いでいるのか、専門家に聞きました。
(クマの生態に詳しい
岩手大学
山内貴義准教授)「若い個体を中心にかなり人慣れをしている。おそらくクマが小さいころから人里中心に生活していて、例えば人間の生活音、車の音とか、人のしゃべり声とかに慣れてしまっている」
さらに…
(岩手大学
山内貴義准教授)「ちょうど今6月7月、特に7月なんですけれども、繁殖期、クマの繁殖期のちょうどピークなんですよ。とくにオスの個体はメスを求めてかなり行動域が広くなる」
また子連れの母グマがオスグマから子どもを守るために人里に逃げてくることもあるといいます。
(岩手大学
山内貴義准教授)「メス個体はオスがウロチョロしていることで、かなり神経質になっている状況になります。特に親子連れだと気が立っている状況にもなりますので、そういったときに人と遭遇してしまうと、もしかしたら子どもを守ろうとして襲ってきてしまうということはあると思います」
7月6日『有働Times』より