列島に津波警報・注意報 夏の観光地や311被災地に緊張と不安
社会|
07/30 19:55
水位が上がっていく岩手県久慈港。30日午後1時52分に1.3メートルの津波を観測しました。到達した後は、また再び水位が下がっていくのが分かります。
午後4時すぎに捉えられた映像を見ると、北海道苫小牧市で大きな波が河口から流れ込んでいくのが分かります。
午前、カムチャツカ半島付近で観測したマグニチュード8.7の地震。北海道や千葉県など広い地域に津波警報が出され、広い範囲で津波を観測しています。
日本の各地に大きな影響を及ぼしています。
津波警報の影響で、仙台空港の滑走路が閉鎖しています。函館市の高台には多くの車が集まってきていて、住民が避難をしています。
「函館避難と出ていたので、家が小学校の近くだけど満員で入れないので、とりあえず高い公園に来た」
「(Q.満員?)皆さん周りに車止めて待っていた」
集団で避難する小学生。津波注意報から警報に変わったことを受け、学校の3階に避難するといいます。
宮古小学校
福徳潤校長
「学習している時も3階が安全だから避難する」
「(Q.東日本大震災の時は?)ここまで来てます。波が」
北海道むかわ町では、およそ300人が消防署の屋上に避難。
けが人も出ています。北海道では、86歳の男性が避難所のトイレに行く際に転倒し、骨折の疑いで病院に搬送されるなどしました。
東日本大震災が大きな被害をもたらした場所に再びやってきた津波。不安は計り知れません。宮城県内では石巻港で70センチ、仙台港で50センチの津波を観測しました。
福島県いわき市。避難した人は、高い波が押し寄せる海岸を心配そうに見つめます。
避難した人
「2011年も被災しているので、その時もここで一時避難して様子を見ていたので、津波が来ないといいなと思って」
いわき市の小名浜では40センチの津波を観測しています。
宮城県気仙沼市。防波堤に行く道は通行止めです。市内の避難所には…。
避難者
「病院に来ていた、内科に。そしたら先生が落ち着いて診察できないから一応避難して下さいって、ここに」
皆さん、震災当時の記憶がよみがえります。
避難者
「(Q.久々にサイレンが)やっぱりすごいですね。よみがえってきます。あの時のことを忘れてないですよ」
警察によりますと、午前10時すぎ、三重県熊野市の国道で、軽乗用車が道路左側の崖下に転落しました。この事故で車を運転していた58歳の女性が頭を強く打ち、病院に運ばれましたが、およそ3時間後に死亡しました。
女性は事故の前、家族にLINEで「車を高台の退避所に置いてくる」などとメッセージを送っていて、津波警報の発表を受けて車を退避させようとしていたとみられています。
午後になり、関東でも相次いで避難所が開設されています。
介護施設職員
「海からかなり近くて海抜1、2メートルの所なので、東日本大震災の時に浸水しているので、それもあって早めに移動しようと」
神奈川・横浜や横須賀、東京・晴海でも津波を観測しています。千葉県内房、伊豆諸島、相模湾、三浦半島などで津波警報が出されました。
九十九里でサーフィン教室を営む人
「警報が鳴って、そういう時に対応できるようには、市の職員は慣れているし、夏だからライフガードもいるので、海水浴やサーフィンの客に海から上がって避難してもらった」
千葉県大網白里市にある避難所の駐車場では、ほとんどの駐車スペースが埋まっているという状況です。中には車の中で警報が解除されるまで待機するという人の姿もあります。
千葉県では避難所も開設されました。
避難する人
「(Q.夏休み中?)だから帰省してきたんですけど。今はとにかく情報を見て、警報解除を待つしかない」
ペットと避難した人
「(Q.避難のキッカケは?)家が海岸に近いからね。木の影の下にいれば少しは大丈夫。落ち着くかな」
都立国分寺高校
剣道部顧問
奥野修平さん
「東京の高校の剣道部で合宿に来ていました。元々ここが練習場で、練習している時に警報が出て『ここを避難所にするので練習はいったんやめてほしい』。今、待機しています。今後、合宿を継続できるか。宿に戻るタイミング、宿がちょうど海に近い所なので、引き続きここで一晩を過ごす可能性があり、心配している」
湘南のシンボル・江ノ島付近でもサイレンが響きました。昼すぎ、海水浴客で埋め尽くされるはずの砂浜は閑散としています。
津波警報が出された神奈川県三浦半島。高台を目指す車でしょうか、渋滞が起きています。
避難する人
「家にいたけど(夫が)戻って連れてきてもらった」
横須賀市では津波警報を受けて、市内の複数の学校が避難所として開設されています。一方、それ以外の学校でも自主的に避難を始めた人が、すでに1000人以上集まっている所もあるということです。
避難する人
「非常に暑かったので教室を開放してもらって安心した」
首都圏の交通網も混乱します。千葉、外房線などが通る大網駅。在来線は運転見合わせが相次ぎます。
神奈川県鎌倉市にある大船駅。横須賀線も運転を見合わせました。JR東日本によりますと、午後3時半現在、湘南新宿ラインでは大船から南の横須賀線と、新宿から南の東海道線で直通運転を見合わせています。
島しょ部に住む人々は不安を抱えます。東京・八丈島八重根で、午後2時37分に80センチの津波が観測されました。
小笠原滞在中の観光客
「会社の同僚たちも大丈夫かと心配しているくらい危険な状態。島民の方々の避難はどんどん進められている状態なので、油断せず避難した方がいいかなと高台に上がっている状況」
影響は関西や東海でも。和歌山県那智勝浦町役場は町内に8カ所の避難所を開設し、避難所や高台などにおよそ750人が避難しているということです。
気象庁地震火山部管理課
地震津波対策企画官
清本真司さん
「第1波より後に来る波が大きいことがあるので、津波警報等が解除されるまでは避難を継続していただきたい。津波は最大の波が来てすぐに終わるわけでないので、徐々に高くなってきてそれがゆっくり引いていく形になる。それを考えると、長い時間の津波が継続することが考えられる。少なくとも1日程度以上は津波の高い状態が継続すると考える」