【わざわざ行きたい店】ランチ営業のみ!10年越しのネバトロ名物!「高級食材を地産地消で町の昼ごはんに」農家が営む幼少の思い出が詰まった自然薯専門店『自然薯 智清庵』(福岡・遠賀町)【まち歩き】
遠賀町の道を進んでいくと、町の暮らしに溶け込むように一軒の店が見えてくる。通り沿いに静かに店を構える、遠賀町産の自然薯専門店『自然薯 智清庵(じねんじょ ちせいあん)』だ。
『智清庵』は、遠賀町産の自然薯にこだわった店。
店主の二村さんはこの遠賀町で生まれ育ち、農家として米や野菜を育ててきた。
自然薯を育て始めたのは、10年ほど前のことだ。
生まれ育った場所で畑を耕し、そこで採れたものを、同じ町の中で料理として出す。生産から加工、提供までを、自分たちの手の届く範囲でつないでいく。それが『智清庵』の大切にしていることだ。
自然薯の粘りや香りを料理として味わえる店は、当時はまだ多くなかった。だからこそ二村さんは、育てて終わりにするのではなく、飲食店として提供して食べてもらうところまでを、はじめから思い描いて自然薯づくりを始めた。
■粘りが語る、自然薯という作物
自然薯は、まずわさび醤油でいただくのが『智清庵』スタイル。
箸で持ち上げると強く伸びて、その弾力と粘り気に驚かされる。
自然薯は山芋の一種で、なかでも日本原産の在来種とされ、古くから日本の食文化のなかで親しまれてきた。
その粘りは箸で持ち上げた瞬間に伝わり、力強く伸びて、よく絡む。
この時期に特におすすめなのが、「山かけぶっかけそば」(1,100円税込)。
冷たいそばに自然薯を合わせ、さらに宗像産のアカモクを添えた一品だ。
つるりとした喉ごしのなかに、自然薯の力強い粘りと、アカモクの磯の風味が重なる。暑い季節にも食べやすく、自然薯の香りと食感を軽やかに味わえる。
畑で育てた自然薯を、店で擦り、料理として出す。
遠賀の土から生まれたものが、器の中でかたちを変えていく。
この一膳を目当てに町内外から多くの客が訪れ、行列ができることも。
店では、自然薯料理に加えて、自身の畑で採れた野菜の惣菜も無料でいただける。
漬物などの小鉢を自由に楽しめるのは、農家が営む店ならではのうれしいポイントだ。
自分たちで育てているからこそ、自然薯を使った定食を手の届く価格で出せる。
高価な食材という印象のある自然薯を、特別な日のごちそうではなく、町の昼ごはんとして味わえる形にする。
それもまた、『智清庵』がこの遠賀町で店を構える理由のひとつだ。
■宝物を探すように、山へ入った記憶
二村さんにとって自然薯は、畑で育てる作物である前に、幼い頃の記憶と結びついたものでもある。
自然が豊かに残る遠賀町で育ち、子どもの頃は大人たちに手を引かれて山へ入った。草木をかき分け、落ち葉の積もる山の中を進み、ハート型の葉を手がかりに、地中に眠る自然薯を探す。見つけるまでに時間がかかり、掘り起こすのにも手間がかかる。だからこそ幼い目には、それが宝物探しのように映っていた。
自然薯の味と、その時に見た山の景色。その記憶は、今も二村さんのなかに原風景として残っている。
昔ながらの食べものや食文化が、少しずつ遠くなっていく時代。二村さんは、自然薯の味を子どもたちにも残したいと思うようになった。遠賀で生まれ育ち、遠賀の土で自然薯を育て、遠賀の店で一膳にする。『智清庵』の料理には、そんな記憶と願いも静かに重なっている。
■土の中で守られる、自然薯の旬
自然薯の収穫は、主に11月から2月頃。けれど『智清庵』では、これを通年で提供している。その理由のひとつが、保存の工夫だ。
収穫期を迎えてもすぐにすべてを掘り上げず、時期を見ながら土の中で保管する。掘り上げたあとは、状態を見極めながら冷蔵庫で管理していく。遠賀の土の中で過ごした時間を、できるだけそのまま料理につなげる。通年で自然薯を味わえる背景には、畑を知る人だからこその手間がある。
自然薯は、掘るまで形や出来がわからない。毎年同じように手をかけても、土の中のことは最後まで見えない。
「100点のものもあれば、10点のものもあるんです」。
その一言に、自然薯づくりの難しさがにじむ。
思うように育つ年もあれば、そうはいかない年もある。
それでも土を見て、植え方を変え、少しずつやり方を探っていく。
■これからも、遠賀の土とともに
『智清庵』の中心には、いつも自然薯がある。遠賀町の土で育てた自然薯の一膳を、この町で味わってもらう。二村さんが続けているのは、そのまっすぐな営みだ。
遠賀の土で育った自然薯を、この町で食べてもらうところまで、自分たちの手でつなぐ。
「地産地消っていう言葉が、もっと広がるといいですね」。
その言葉は、『智清庵』の一膳にそのまま重なる。遠賀町を訪れたら、その粘りと香りに、ぜひ出会いに足を運びたい。
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◼️『自然薯 智清庵』(じねんじょ ちせいあん)
住所:福岡県遠賀郡遠賀町島門2-12
電話:090-2856-8956
営業時間:11:00〜14:30(料理LO14:00)
定休日:月曜・火曜
駐車場:あり(無料10台)
Instagram:@chiseian
https://www.instagram.com/chiseian/
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※情報は2026年6月19日時点のものです。最新情報は公式HP、Instagram等でご確認ください。
■ 『自然薯 智清庵』(じねんじょ ちせいあん)
住所:福岡県遠賀郡遠賀町島門2-12
Instagram:@chiseian
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