【週末おでかけ】三瀬ドライブで立ち寄りたい老舗『三瀬そば』。36年続く名物「板そば」と、2代目が守る変わらない味(佐賀・佐賀市)【まち歩き】

佐賀市三瀬村。福岡市内から車を走らせ、山あいの道を抜けていくと、国道263号沿いに手打ちそばの店『三瀬そば』があります。

三瀬そば街道を代表する店の一つとして、三瀬方面へドライブに出かける人には、なじみのある一軒かもしれません。

店を切り盛りするのは、2代目社長の吉田明広さん。厨房にも立ち、店の味を守っています。
創業から36年。吉田さんにとってこの店は、働く場所になる前から、生活の中にあった場所でした。

■学校帰りのおやつは、そばだった

「開店した当初は、自分はまだ小さかったんです。学校から帰ってきて、おやつ代わりにそばを食べていました」と語る吉田さん。
『三瀬そば』を始めたのは、吉田さんの父。吉田さんは三瀬村で生まれ育ち、店が開いた頃はまだ子どもだったそうです。
最初から店を継ぐと決めていたわけではありません。子どもの頃は、周囲から店のことを言われるたびに反発する気持ちもあったといいます。それでも成長するにつれ、気持ちは変わっていきました。

「いざ大きくなってみると、継ぎたいなという気持ちの方が強くなってきて。そのまま就職した感じです」

高校卒業後、店に入り、現在は2代目として厨房に立つ吉田さん。弟さんや奥さま、長年働くスタッフたちとともに、店を切り盛りしています。


■福岡での修業から始まった、三瀬のそば店

創業前、吉田さんの父は福岡でそば作りの修業を積んでいたそうです。
「自分が小さい頃、父は家にいなかったんです。ずっと福岡の方へ修業に行っていたので」
修業を終えた後、三瀬で店を開業。最初の店舗は、現在の店舗とは別の場所にありました。今は駐車場となっている場所で営業を始め、その後、建物の老朽化に伴い、現在の店舗へと移りました。

取材中には、開店当時の写真も見せてくれました。そこには、今とは少し違う『三瀬そば』の姿が残されていました。

■名物「板そば」は、開店当初からの看板

『三瀬そば』の名物が「板そば」です。大きなせいろにそばが盛られ、家族や友人同士で分けて食べる人も多い一品。
三瀬の地下水と長野産のそば粉で仕立てるそばを、大きな板にたっぷりと。ざるそばの気軽さに、山あいの店らしい気前のよさが加わった一品です。一人で食べる人もいますが、街中のそば店と比べるとかなり量が多く、通常のせいろそばでも一般的な店の1.5〜2倍ほどあるそうです。

このボリュームには、創業者である父の考えが残っています。当時は周辺に飲食店が少なく、福岡と佐賀を行き来する人たちにお腹いっぱい食べてもらいたいという思いから、量を多くしたといいます。

食材費の高騰で価格は変わりましたが、量は創業当時のまま。「量だけは減らせない」と吉田さん。味と量、その両方を守り続けています。

「板そば」並(2〜3人前)税込1,950円、大(3〜4人前)税込2,650円

■「昔と味が変わらない」が一番うれしい

三瀬には、そば店が点在しています。いわゆる「三瀬そば街道」として知られ、福岡方面からも多くの人が訪れます。

その中で、吉田さんが一番大切にしているのは、長く通うお客さんからの声です。
「ずっと来ていただいている常連さんが結構いらっしゃるんです。年配の方が多いですけど、その人たちに『昔と味が変わらない』と言われるのが、自分としては一番うれしいですね」。
「来ていただいている方が『おいしい』と言ってくれれば、それで自分は満足なんです」。

派手な言葉ではありません。でも、36年続く店の厨房に立つ2代目が口にした言葉として、そのまま記事に残しておきたいものでした。

■変えないために、毎日同じことをする

そば作りで一番大切にしていることを聞くと、吉田さんは「出汁」と答えました。
麺は、吉田さんより長く働くベテランスタッフに任せています。気温や湿度によって状態が変わるため、そこは長年の感覚が必要になるそうです。

一方で、出汁は吉田さん自身が毎日見ています。
「出汁に関しては、毎日変わらないことを、変わらないように続けるだけなんです。ちょっとでも火を入れる時間が長くなると味が変わりますし、水が多いだけでも全然味が変わります」。
必要な量は日によって違っても、出汁は毎日同じ量を取るといいます。味をそろえるための手順は、細かく、地道です。

さらに、吉田さん自身の体調管理も味に関わります。翌日が仕事の日は、辛いものを食べないとのこと。
「食べると、全く味が分からなくなるんです。お酒もちょこっとしか飲めません」。
休みは毎週月曜と、月に1回の火曜。翌日を気にせず飲み食いできるのは、日曜の夜だけだと笑います。

味を変えないことは、単に同じことを繰り返すだけではありません。材料、体調、火加減、水の量。その全部を、毎日そろえ続ける作業です。

■これからも変わらない店であるために

これからの店について尋ねると、吉田さんは「今と変わらないこと」が目標だと話しました。
「昔ながらに、地道にやるしかないんだなと思いました。今と変わらない、昔と変わらないことが、これからの目標です」。
「いろんなことを考えると、変わらなきゃいけないと言われるんですけど、変わらないことの方が、自分たちにとっては一番難しいことだし、一番守りたいことかなと思います」。

三瀬の山あいで36年。大きな板に盛られたそばは、量も、出汁も、店の形も、簡単には変えないことで続いてきました。
取材後、奥さまにも加わっていただき、店舗前で撮影。肩肘張らずに並ぶ二人の姿に、『三瀬そば』の変わらない時間が重なりました。

三瀬方面へ車を走らせる日。腹を空かせて立ち寄りたい一軒です。


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■『三瀬そば』

住所:佐賀県佐賀市三瀬村三瀬2858-2
電話:0952-56-2400
営業時間:火~金 10:30~17:00
     土日祝日 10:30〜18:00 (最終受付は10分前)
定休日:月曜(祝日の場合は営業し翌日休み)、月1回火曜
駐車場:あり

Instagram @mitsusesoba
https://www.instagram.com/mitsusesoba/

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■ 三瀬そば

住所:佐賀県佐賀市三瀬村三瀬2858-2
Instagram:@mitsusesoba

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