【週末おでかけ】老舗織元の敷地に現れた“久留米絣の入口”!食べて、触れて、アートにも出会える『SAKATA CAFE』(福岡・広川町)【まち歩き】

広川町ののどかな道を進んでいくと、久留米絣の老舗「坂田織物」の敷地内に、一軒のカフェが現れる。2022年にオープンした『SAKATA CAFE(サカタカフェ)』だ。

1948年創業の坂田織物は、長く久留米絣づくりを続けてきた工房。ここは、カフェでありながら、ショップやギャラリー、工場見学、ワークショップへとつながる、久留米絣の入口のような場所でもある。
今回、坂田織物の部長・坂田由香理さんが、敷地内を案内しながら、この場所に込めた思いを聞かせてくれた。


◼️久留米絣を、もっと身近に

坂田織物は、もともと問屋や小売店との取引を中心にしてきた織元だった。一般の人が気軽に訪れ、商品を手に取ったり、工房の空気を感じたりできる場所は限られていたという。
転機になったのは、コロナ禍。従来の取引が難しくなる中で、会社のこれからを見つめ直す時間が生まれた。そこで掲げられたのが、「かすりを身近にする」という企業ビジョンだった。

「昔は絣って本当に身近なものだったんですよね」

かつて久留米絣は、モンペや布団カバーなど、暮らしの中に当たり前にあるものだった。着古したものは雑巾になり、最後まで大切に使われたという。
けれど時代とともに、絣は少し特別で、手に取りにくいものになっていった。だからこそ、もう一度暮らしの近くへ。その思いから、カフェやショップ、ギャラリーを備えた場所づくりが始まった。


◼️食をきっかけに、絣と出会う

『SAKATA CAFE』は、食事やドリンクを楽しみに訪れた人が、自然と久留米絣に触れられる場所として作られた。

「まずは、ごはんを食べに来てもらえたらいい」

絣を知らない人でも、カフェなら気軽に足を運べる。若い世代やファミリー層にも、そんな入り口があったほしいーーそう考えてカフェという形が選ばれた。
店内には、坂田織物のブランド「TUGU」の商品や、陶器、雑貨など、ここでしか手に取れないものが多く並ぶ。

ランチメニューにも、絣とのつながりがさりげなく添えられている。料理の国に合わせて、その国の絣のランチョンマットを一緒に出してくれるのだという。食事を楽しみながら、「この国にも絣の文化があるんだ」と知るきっかけにもなる。


◼️藍の華ソーダと綿雪、夏に味わう一杯

取材時に注文したのは夏のおすすめ、「藍の華ソーダ」(660円税込)。

久留米絣にも欠かせない“藍”をイメージした青いソーダで、レモンシロップをかけると色が鮮やかに変わる。
見た目にも涼やかで、暑い季節にぴったりの一杯だ。

もうひとつ印象的だったのが、夏のメニュー「綿雪(コーヒー)」(880円税込)。

「うち、糸を扱う会社なので」

その言葉通り、削られた氷は繊細な糸状で、綿のようにふわりとしている。今回は、グアテマラのコーヒーを使った綿雪。コーヒーそのものを凍らせて削るため、食べ進めても味が薄まりにくく、最後まで香りとほろ苦さを楽しめる。

メニューひとつにも、坂田織物らしさがある。伝統工芸を堅苦しく伝えるのではなく、食の楽しさの中にそっと忍ばせる。その距離感が、この場所を訪れやすくしている。


◼️閉じていた工房から、開かれた場所へ

伝統工芸の現場には、長く「裏側を見せない」空気もあったという。技術は企業秘密。制作過程を外に出すものではない。そうした考えも根強かった。
けれど、見せないままでは伝わらない。久留米絣を知らない世代にも、その技術や背景を届けていくために、少しずつ工房を開いていく必要があった。
今では、カフェを訪れた人がショップで商品を手に取り、工場やギャラリーに興味を持つこともある。ワークショップを通して、実際に素材に触れる機会も増えた。

工房で働く人たちにとっても、お客様の顔が見えるようになったことは大きい。以前は商品が問屋や小売店を通じて届いていく先を、直接見る機会は少なかった。今は、購入したものを身につけて再び訪れる人がいる。自分で仕立てたものを見せに来る人もいる。
作り手と使い手が出会うことで、工房の空気も少しずつ変わっている。


◼️アートと絣が出会うギャラリー

敷地内には、カフェやショップだけでなく、ギャラリーも併設されている。ここは坂田織物の商品をただ並べる場所ではなく、絣を学んだ作家やアーティストが、自分の作品として表現を広げるための空間でもある。

現在は、画家・山口一郎さんとのコラボレーション作品を展示。山口さんの絵を久留米絣の技術で織り上げた作品は、プリントとは違い、糸の重なりや織る人の手によって表情が少しずつ変わる。

「同じものが一つもないところが、織物と絵で共通するところもあって今回コラボレーションが実現しました」

絵と織物。一見異なるもののようで、どちらも人の手から生まれる一点もの。その共通点が、作品に奥行きを与えている。
アーティストのファンが久留米絣を知るきっかけになり、坂田織物を訪れた人が新しいアートに触れるきっかけにもなる。ギャラリーは、絣の技術を受け継ぐだけでなく、新しい感性と出会わせる場所にもなっている。


◼️町とつながる、絣の入口

『SAKATA CAFE』は、坂田織物だけで完結する場所ではない。レザー作家とのコースター作り、七夕に合わせた手織り体験、広川町の素材と組み合わせた企画など、ワークショップも多彩だ。
坂田織物が描く未来には、「絣のテーマパーク」という言葉がある。食べる、触れる、着る、学ぶ。さまざまな入口から、久留米絣に出会える場所を目指している。
広川町にある『SAKATA CAFE』は、カフェで過ごすひとときの先に、糸を染め、織り、受け継いできた人たちの時間を感じられる場所。気軽な一杯から、久留米絣の世界に触れてみてほしい。

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◼️『sakata cafe(サカタカフェ)』
住所:福岡県八女郡広川町大字長延602 坂田織物
電話:0943-32-1417
営業時間:11:00〜17:00
定休日:月曜(お盆年末年始など不定期休み有)
    ランチは金・土・日曜のみ
駐車場:あり
SNS:Instagram:@sakatacafe
https://www.instagram.com/sakatacafe/
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※情報は2026年7月時点のものです。最新情報は公式HP、Instagram等でご確認ください。

■ sakata cafe

住所:福岡県八女郡広川町大字長延602 坂田織物
Instagram:@sakatacafe

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