【わざわざ行きたい店】祝15周年!毎日食べたい!常連客に「もうちょっと高くせんね」と言われる名物パン屋!パンと雑貨とおいしいもの『ニコパン』(福岡・大木町)【まち歩き】

福岡県三潴郡大木町、県道23号線沿い。のどかな田園風景のなかに、ふと目を引く洋館が建っています。アーチ型の窓、年季の入った木の扉。そして看板には、にっこり笑う女の子「ニコちゃん」。
2011年7月オープン、パンと雑貨とおいしいもの『ニコパン』です。


■「もったいない」と思っていた建物が、自分たちの店に

この建物、もとは昭和8年に建てられた福岡銀行。その後バブル期には喫茶店として地域の憩いの場になり、以降は長く使われずにいました。

「帰省するたびに、この建物なんだろうって。すごくかっこいいのに、誰も使ってなさそうで。ずっともったいないと思ってたんです」

そう話してくれたのは、店主の奥様・北島美香さん。ご主人の勇さんとは大木中学校の同級生です。ふたりとも関東に出て、勇さんはシステムエンジニア、美香さんは傘のデザイナーとして働いていました。
再会したのは同窓会。勇さんが会社を辞めてパンの修行を始めたと聞いて、「面白そう」と思ったのが始まりでした。

「主人は、システムエンジニアの先輩たちを見ていて。夜遅くに帰って、家族が寝てるうちにまた出ていく。自分は家族としっかり一緒に生きていきたいって思ったみたいで」

どんな生き方をしたいか。その答えの先に、パン屋がありました。そして物件を探すとき、頭に浮かんだのはあの建物ひとつだけ。

「あそこしかないやん、って。他は探してないです」

外観も壁面も、ほとんど手を加えていません。

「この汚れてる感じも、味かなって」

店が開いてからは、「昔ここ来よったのよ」と話すお客さんが何人も訪れたそう。地域の記憶が、そのまま今も続いています。

■こだわりを聞くと、返ってくるのは「なんもない」

パンについて尋ねると、勇さんは決まって「なんもない」と答えるのだとか。でも、話を聞けば芯ははっきりしています。
添加物は極力使わず、長時間発酵でゆっくり旨みを引き出す。ふんわり系ではなく、しっかり噛みごたえのある生地。

「ご飯みたいに、毎日食べても飽きないパンを作りたいんです」

だから季節限定もつくらない。メニューもほとんど変えない。オープン当時から並ぶ顔ぶれが、今もそのままです。
ただし、まったく同じというわけでもありません。

「季節や気候で、主人は少しずつ変えてるんですよ。私にはわからないけど、今はこっちのほうが美味しいんじゃないかって、ちょこちょこ工夫してます」

見た目は変わらないまま、静かにアップデートされ続けているパン。開業から15年、通い続けても飽きない理由は、たぶんここにあります。

■まずは、このラインナップを

・塩バターベーグル(税込230円)
不動の人気No.1。ベーグルは茹でる工程があるぶん手間がかかり、扱う店はそう多くありません。それがこれだけの種類並んでいるのが、ニコパンの個性です。むぎゅっと噛みごたえのある生地に、じゅわりと塩バター。

・大納言フランス(税込200円)
甘くホクホクした大納言とうぐいす豆がごろごろ入ったハード系。甘じょっぱさがやみつきになります。

・ドーナツ(税込250円)
最近加わった新顔がこれ。台湾式だそうで、衣をつけて揚げるという珍しい製法。いま流行りのふわふわ系とは違い、ざくっ、もちっという初めての食感。
しかも仕上げは自分で選べます。ミルク、きな粉、シナモン。人気はきな粉だそう。

・グリル野菜とベーコンのキッシュ(税込340円)
満足感がすごい、玉ねぎ・ジャガイモ・パプリカ・なす・ズッキーニ・角切ベーコンの彩り豊かなキッシュです。

・えだ豆ベーコンエピ(税込250円)
ベーコンとチーズの旨味にごろごろえだ豆が入ってボリューム満点の一品。

他にもセミドライのいちごをたっぷり使ったあまおういちごベーグル(税込300円)、チョコマフィン(税込300円)もおやつにピッタリ。

■パンの隣に、旅の気配

店内の左手には、美香さんセレクトの雑貨コーナー。ジャムや調味料、器、小物たちが並びます。
なかには、美香さんが自らベトナムやタイまで足を運んで買い付けてきたものも。ベトナムはもう10回以上訪れているそうです。
さらに近ごろは、仲間と洋服のブランド「CHARAI」まで立ち上げたのだとか。タイで仕入れたアフリカンファブリックに、ベトナムでつくったオリジナルシルクを組み合わせて——と聞くと壮大な計画のようですが、実態はノリと勢いだそうです。

「計算とか全然せんけん。とりあえず作ろうやって。ノリで大量に作ってます(笑)」

パン屋の枠を軽やかにはみ出していく感じが、この店の空気をつくっています。


■客が「値上げしなさい」と言う店

材料費は上がり続けています。それでも価格は、ほとんど据え置きのまま。

「日常食だから、高くはしたくないんです。自分も子どもがいるから。買えなくなるようじゃ、日常食じゃなくなっちゃう」

すると、常連客にこう言われるのだとか。

「あんたたち、もうちょっと値段上げんね。続けてもらわんと困るけん」

値上げをすすめてくるお客さんがいる。そんな関係が成り立っていること自体が、この店の答えなのかもしれません。
今後の展望を尋ねると、返ってきたのはこんな言葉でした。

「増やさずに、ふたりでできる範囲で。長く続けることが一番かなって」

■行くなら、この時間

パンは全30種類ほど。午後1時ごろが最も品数が豊富です。
土日は遠方からの来店も増えて、夕方にはほぼ売り切れることも。

店の前には、地元の農家さんが持ち込む朝採れの野菜が並ぶことも。
穂先が少し開いていたり、曲がっていたりで出荷できないだけの、鮮度は最高のアスパラガスやトウモロコシです。手数料も取らず、信頼だけで置いているそう。

パンを買って、雑貨を眺めて、野菜も抱えて帰る。

「道の駅おおき」から車で5分。ドライブの途中に、少し寄り道してみてください。

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■パンと雑貨とおいしいもの『ニコパン』
住所:福岡県三潴郡大木町横溝82-1
電話:0944-78-1292
営業時間:10:00〜18:00
定休日:月・火曜
Instagram:@nikopan_yome
https://instagram.com/nikopan_yome
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※情報は2026年7月時点のものです。最新情報は公式HP、Instagram等でご確認ください。

■ 二コパン

住所:福岡県三潴郡大木町横溝82-1
Instagram:@nikopan_yome

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