「なんばん往来」と聞いて、長崎のお土産だと思っていた人は少なくないのではないでしょうか。
実はこのお菓子、福岡県飯塚市で生まれました。
本店の前に立つと、どっしりとした古い建物が迎えてくれます。もともと長崎街道沿いで醤油をつくっていたお店の蔵を、移築したものだそうです。中に入ると、長崎・出島をモチーフにした空間が広がり、なんばん往来の物語を感じられる場所になっています。
案内してくれたのは、株式会社さかえ屋 なんばん往来事業部の大村和之さん。飯塚で生まれ育ち、本店が「なんばん往来」としてリニューアルした際には店長を務めた方です。今はデジタルマーケティングチーフとしてSNSなどの発信も担当しています。
■砂糖が通った道の、宿場町で
飯塚は、江戸時代に長崎と小倉を結んだ長崎街道の宿場町でした。南蛮船が運んできた砂糖は、この街道を通って各地へ。沿道にはお菓子の文化が芽生え、長崎街道は、「シュガーロード」とも呼ばれています。
「なんばん往来」という名前は、異国の人々が行き交ったこの街道の風景から生まれました。
「当時の方々はもういらっしゃらないので、聞いた話にはなるんですけど」
大村さんは、そう前置きしながら教えてくれました。
さかえ屋の始まりは、飯塚の本町商店街のそばで営んだ、お菓子の小売店。最中「すくのかめ」などを手がけながら少しずつ自社のお菓子を増やし、1984年、なんばん往来が誕生します。商品化までには、13年という長い年月がかけられました。
■変えずに守ってきたもの
なんばん往来は、発酵バターが香るパイ生地に、アーモンド粉を使ったしっとり香ばしい生地を重ね、爽やかなラズベリージャムを合わせた焼き菓子です。
ひと口かじると、生地やパイの香ばしさ。そのあとから、甘酸っぱいジャムの味わいが広がります。
40年以上つくり続けるなかで、細かな改良は重ねてきたといいます。それでも、大切に守り続けているものがあります。
「生地の割合や、基本的なつくり方はずっと変わらないんです。型の大きさも、最初からずっと同じものを使い続けています」受け継いできた基本を大切にしながら、これからもよりおいしく、安定した品質で届けるために磨き続けていく。それも、なんばん往来が大切にしている考え方です。
■飯塚の暮らしのなかに
今では「福岡のお土産」として知られるなんばん往来ですが、地元飯塚市の人にとっては少し違うようです。
「飯塚の人からすると、お土産だけでなく、日常のお茶菓子や家族の行事など、暮らしのなかでも親しまれてきました。「僕が子どもの頃は、仏壇にあるのをこっそり取って食べるくらい、身近なお菓子でした」
誕生日のケーキも、さかえ屋で買うのが当たり前。かつての工場近くにあったスイミングスクール帰りに、アイスを買ってもらうのが楽しみだったといいます。誰かへのお土産としてだけではなく、家族で囲むお茶の時間や大切な日の贈りものとして。
なんばん往来は、そんな飯塚の暮らしのなかで育ってきました。
■お菓子屋さんの多い街、飯塚市
飯塚市は、決して広くない地域にたくさんのお菓子屋さんが集まる、お菓子屋さんの多い街です。
「飯塚の人は、甘いものが本当に好きなんですよ」
大村さんは、そう教えてくれました。
炭鉱の街として栄えた筑豊からは、名だたるお菓子のメーカーがいくつも生まれました。砂糖の道が通り、甘いものを愛する人たちが暮らす街。なんばん往来は、そんな土地に育てられてきたお菓子なのかもしれません。
■新しい一歩の、となりに
なんばん往来がこれから大切にしていきたいのは、人と人とをつなぎ、新しい一歩を踏み出す人に寄り添うこと。
これは、なんばん往来が掲げる「おいしさの往来で、人と人をつなぐ」「新たな船出を応援するお菓子」という考え方にもつながっています。
「何かに挑戦するときに、横にいたいお菓子。結婚のご挨拶だったり、久しぶりに友達に会いに行くときだったり。肩ひじ張らず、高すぎず、でももらったらちょっとうれしい。人生の節目や、環境が変わるときにこそ使ってほしいなと思っています」
新しい環境へ進むとき。
久しぶりに大切な人を訪ねるとき。
誰かへ「ありがとう」や「これからもよろしく」を伝えるとき。
そんな人と人との間に、なんばん往来がある。
それが、このお菓子が目指している姿です。
■変えないものと、変えていくもの
定番の味を守る一方で、新しい味への挑戦も続いています。
福岡県産のいちじく「とよみつひめ」など、九州の素材にこだわった味が次々と登場しています。福岡だけでなく、九州全体の魅力を伝えたいという思いからです。
また、本店では店内の工房で焼き上げて仕上げる「焼きたてなんばん往来」も楽しめます。焼きたてを食べられるのは、本店と博多マイング店の2店舗だけ。カフェスペースでは、ここでしか食べられない「しぼりたてモンブラン(和栗)」(税込1,320円)も味わえます。
昔ながらのラズベリーを愛し続ける人がいて、新しい味を楽しみにする人もいる。変わらない味を大切にする人がいるからこそ、新しいことにも挑戦できる。そんな関係が、ここにはあるように感じました。
■次の世代にも、届けたい
現在は、XやInstagramなどを通じた情報発信にも力を入れています。新しい味や、お店で楽しめる商品。若い世代にも、飯塚から離れて暮らす人にも、なんばん往来とさかえ屋のことを知ってほしいという思いが込められています。
お土産として、誰かに手渡すのもいい。焼きたてを、本店のカフェでゆっくり味わうのもいい。
でもいちばんは、飯塚の人たちがそうしてきたように、ふだんのお茶の時間に。
シュガーロードが通った飯塚市の、ひと味ちがうお菓子です。
■ふるさと納税でも
なんばん往来は、飯塚市のふるさと納税の返礼品としても選べます。定番のラズベリーをはじめとした詰め合わせを、自宅で味わってみてはいかがでしょうか。
返礼品名:なんばん往来 12個入(定番3種+季節限定2種セット)
寄付金額:15,000円
URL:https://furusato-iizuka.jp/goods/detail.php?id=7c0ef141a64d1a4be1686fc96091f92b
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■『なんばん往来 Sweets-Bistro本店(なんばんおうらい スイーツ ビストロ ほんてん)』
住所:福岡県飯塚市堀池128-1
電話:0948-26-0111
営業時間:ショップ 9:00〜19:00/カフェ 10:00〜17:00(L.O.16:00)
定休日:無休(年末年始など、カフェが臨時休業になる場合があります)
公式HP:https://nanban-ourai.com/
Instagram:@nanbanourai
https://www.instagram.com/nanbanourai/
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※情報は2026年9月時点の取材内容をもとにしています。営業時間・営業日は変更となる場合があります。最新情報は公式HP、Instagram等でご確認ください。 ※焼きたてなんばん往来は、売り切れる場合があります。
■ なんばん往来 Sweets-Bistro本店
住所:福岡県飯塚市堀池128-1
電話番号:0948-26-0111
営業時間:ショップ 午前9時~午後7時
カフェ 午前10時~午後5時(L.O.午後4時)
定休日:なし
Instagram:@nanbanourai
「なんばん往来」公式HP
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